ウィルス感染でCRPが上昇しない理由
ウィルス感染でCRPが上昇しない理由
CRPとは
CRP(C反応性蛋白)は細菌感染の際に肝臓で合成が促進され血中濃度が上昇する。故に感染症を疑う時はルーチンで測定されるマーカーである。
CRPは細菌の細胞膜であるリン脂質二重層(ホスホリルコリン)に結合し、凝集することで免疫システムの補体を活性化しマクロファージによって細菌を貪食させたり菌体を溶菌させて感染症から体を守っている。つまり、CRPは感染の結果、副産物として産生されているものというよりも、細菌感染から生体を防御するために産生されているある種の防御タンパクなのである。一方、ウィルスは細菌のように細胞ではないためにリン脂質からなる細胞膜も持たない。故にCRPが産生されたところでウィルスを攻撃できるわけではなく、当然の話しとしてウィルス感染ではCRPの産生は体内で起こらない。
(ちなみにCRPは感染症以外でも悪性腫瘍、慢性炎症、組織壊死などでも上昇する)
WBCはどうか
CRPと同じような炎症マーカーとして白血球(WBC)がある。WBCは細菌感染でもウィルス感染でも上昇する。よってWBCとCRPの性質の違いを利用することにより感染症が細菌由来なのか、ウィルス由来なのか鑑別することも出来る。
つまり…
細菌感染であればCRPもWBCも上昇する。
ウィルス感染であればWBCは上昇するがCRPは上昇しない。
が、CRPとWBCは産生時間にタイムラグが有るために注意(詳しくは別エントリー参照)