つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

術前抗菌薬予防投与で何を選択するか

外科手術では手術部位が微生物に暴露するために感染リスクが常に付きまとう。CDCの定義では手術から30日以内(人工物を留置する手術の場合は90日以内)に発症する手術部位の感染症を手術部位感染(SSI)としている。

 

感染の予防のために術前抗菌薬投与が行われるが、何の抗菌薬を投与するかは手術によって異なってくる。

 

術前投与はあくまで”予防的”投与であって治療ではない。すでに感染が成立している場合はピンポイントで抗菌薬を投与することになるが、あくまで予防であるので、頻度の高い菌を狙って抗菌薬を選択することになる。

・皮膚の常在菌(ブドウ球菌やレンサ球菌など)が問題となる手術(整形外科手術、心臓血管外科手術、乳腺手術など)ではを第一世代セフェムのセファゾリンを投与。

・上部消化管手術では皮膚の常在菌に加えて腸内グラム陰性桿菌(E.Coli、K.pneumoniae,Streptococcusなど)を対象にして同じくセファゾリンを投与。

・虫垂切除や大腸の手術など下部消化管の手術では上部消化管手術の対象菌に加えて嫌気性菌も考慮しセフメタゾールを投与。

セファゾリンやセフメタゾールだけでなく、更に広域スペクトラムな抗菌薬を投与したほうが良い気もするが、広域スペクトラムであればその分予防効果が高くなるというエビデンスはない。

参考:A Compendium of Strategies to Prevent Healthcare-Associated Infections in Acute Care Hospitals: 2014 Updates on JSTOR