麻疹疑いへのアプローチ
麻疹(はしか)疑い患者へのアプローチ
高熱、皮疹を主訴に来る患者では麻疹を鑑別に挙げ、陰圧個室で診察を行う。
コンテンツ
・麻疹の概要
・カタル期、発疹期、回復期
・診断のポイント
・麻疹の各症状の出現頻度
・コプリック斑の写真(引用)
・麻しんについての概要
潜伏期間は10日〜12日間
カタル期→発疹期→回復期と臨床経過が推移
空気感染する
不顕性感染は少なく、感染したらほぼ発症する
確定診断はウィルス分離、ペア血清で麻疹抗体価が4倍以上
患者に接触後3日以内に麻疹ワクチン接種、あるいは6日以内に免疫グロブリン製剤筋注で発症予防可能。
■3つの臨床経過
画像:はしか(麻疹)|ウィメンズパークより引用
1,カタル期(3日間)
(カタルとは感染症の結果生じる粘膜腫脹と、粘液と白血球からなる濃い滲出液を伴う病態のこと。)
・10〜12日の潜伏期間の後、38〜39度の発熱と上気道症状(咳、鼻水、咽頭痛、鼻水)に加え結膜炎を生じる。
・カタル期は3日間
・カタル期が終わる頃コプリック斑が出現する(両側頬粘膜)
・コプリック斑は麻疹患者の9割以上に出現
・カタル期が最もウィルス排泄量が多く感染力が高い
2,発疹期(4日間〜5日間)
・カタル期が終わり一度解熱した後、再び40度前後の発熱がある(2相性の発熱)。
・カタル症状は更に強くなる
・がしかし、コプリック斑は消失
・顔面から始まり全身へ広がる融合性発疹が出現
全身の融合性発疹の例(画像引用:http://www.nsknet.or.jp/katoh/measles.html)
3、回復期
・解熱する
・発疹は消失するが色素沈着は残る
・解熱後3日経過すれば登校可能。
診断のポイント
・不顕性感染は少ないので流行歴、ワクチン接種歴、罹患歴の把握は必ず必要。
・カタル期はいわゆる風邪のような症状であり、なんとも言えない。麻疹を疑うには発熱に加え結膜炎や口腔内コプリック斑が重要。
・一度解熱して再度熱発する2相性の発熱が生じる
・発疹は耳介後部、頸部から始まり顔面、体感、四肢、手掌、足底にまで広がる
・発疹は小さな紅斑状丘疹から始まり融合性を見せながら全身に広がり、回復期で解熱すると色素沈着や落屑を残して消失
・血液検査で肝機能上昇、白血球の減少も特徴的な所見。
成人の麻疹患者で見られた所見(参考:2007;Jan;41(1)'79-86)
太字は風邪っぽくない所見
・皮疹100%
・咳94.3%
・発熱91.4%
・眼球結膜充血77.1%
・コプリック斑77.1%
・リンパ節腫脹57.1%
・肝機能障害37.2%
・白血球減少28.5%
*コプリック斑について(特異的で診断に重要なので画像紹介)
(一般的には第一、第二臼歯の対側の頬粘膜に出現。大きさは1mm。
https://nurseful.jp/career/nursefulshikkanbetsu/pediatrics/section_7_07/
コプリック斑その1
画像引用:http://www.akita-kenmin.jp/shounihoken/measlesQ&A.htm
コプリック斑その2
画像引用:http://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000006001.html
コプリック斑その3
画像引用:http://nakamura.kids.coocan.jp/kansen2.htm
また追記します(多分)