蜂窩織炎と壊死性軟部組織感染症の鑑別(LRINECスコア)
蜂窩織炎と壊死性軟部組織感染症の違い
蜂窩織炎
全身状態良好(元気)
症状が日単位で進行
水疱や血疱はなし
見かけどおりの痛がり方
発赤部位のみで圧痛を認める
壊死性軟部組織感染症
全身状態不良(しんどそう)
症状が時間単位で進行
水疱や血疱あり
見かけは大したことなくても激痛を訴える
発赤部位以外でも圧痛を認める
多くの蜂窩織炎患者に紛れて壊死性軟部組織感染症患者が受診する。蜂窩織炎患者を見たら壊死性軟部組織感染症を除外しなければならない。
【壊死性軟部組織感染症の例】
・古典的ガス壊疽:
clostriduium perfringensによる汚染創からの感染症。
筋肉壊死が起こり握雪感、腐敗臭が目立つ。
・フルニエ壊疽
免疫力の低下してる患者に生じる陰部の壊死性筋膜炎。
糖尿病患者が肛門周囲や会陰部の痛みを訴えたらまず考える。
・A群溶連菌壊死性筋膜炎
人食いバクテリアとも。基礎疾患のない患者で軽度の損傷後に急速に進行する。致死率は40%ほどと非常に高い。
・vibrio vulnificus壊死性筋膜炎
暖かい地方の生の海産物を摂ることによって発症。vibrio vulnificusは鉄依存性が強いので肝硬変やヘモクロマトーシスなどの患者に好発。汽水域に入ることで経皮的に感染することもある。感染から2日以内に敗血症性ショックになりうる。
【鑑別のためのスコア】
壊死性筋膜炎と蜂窩織炎の鑑別にはLRINECスコアが用いられることがある。
評価項目としてはCRP、WBC、Hb、Na、Bre、Gluの6つである(下表参考)。
表引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsswc/5/1/5_22/_pdf
LRINECスコア7点以上で陽性的中率が92%と高いが、6点以下でも壊死性筋膜炎が10%ほどあるのでスコアだけで判断せず臨床経過を加味して総合的に考える必要がある。