つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

感染症

濃度依存性と時間依存性抗菌薬の違い

濃度依存性と時間依存性抗菌薬の違い 抗菌薬はその薬物動態や作用機序に伴い2種類に分類される。 画像参照:http://www.matsuyama.jrc.or.jp/rinsyo/news/wp-content/uploads/2013/05/3325a490f4184c74aded2ea136c295f6.pdf ・濃度依存性抗菌薬(アミノグリ…

破傷風ワクチン接種の適応

破傷風ワクチン(破傷風トキソイド)接種の適応 ■破傷風とは 嫌気性菌であるclostridium tetani(破傷風菌)が産生する神経毒素によって全身の強直性痙攣や弓なり反張をきたす重篤な疾患である。破傷風菌は芽胞の状態で土壌に生息しており、皮膚の創傷面から…

猫咬傷への対応

猫へ噛まれた患者への対応@救急外来 写真引用:http://matome.naver.jp/odai/2139450632745180701 【処置】 ・咬傷の深さの評価 ・十分な洗浄(20〜30ccの注射器で圧をかけて洗浄) ・大量の生理食塩水または10倍希釈のイソジンで消毒 ・創縁のデブ…

各世代のセファロスポリンの違いと使い分け

各世代セファロスポリンの違いと使い分け 【超簡単にまとめると】 ・世代が進むに連れてグラム陰性菌をカバー グラム陽性菌に対しては第一世代>第二世代>第三世代 グラム陰性菌に対しては第三世代>第二世代>第一世代 第四世代は第一世代+第三世代 http:…

MIC(最小阻止濃度)とMBC(最小殺菌濃度)の違い

MIC(最小発育阻止濃度)とMBC(最小殺菌濃度)の違いとその意義 ・MICは細菌が増殖するのを防ぐのに必要な抗菌薬の最小濃度。増殖は防げるが、殺せるわけではないので薬剤のない状況になったら再び増殖する。MICが小さいほど、その薬剤が細菌を抑える力が大…

ピペラシリンは広域スペクトラムでも緑膿菌にしか用いられない理由

ピペラシリンはアミノペニシリンが修飾された非常に広域なスペクトラムを有するペニシリン系抗生物質。 ピペラシリンは緑膿菌に加えて、その他多くのグラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性菌にも効果を有する。が、広域なスペクトラムに反して臨床現場では頻用…

悪寒、悪寒戦慄、寒気の違い

悪寒には医学的にグレードが分けられていて、程度の強い順に 悪寒戦慄>悪寒>寒気 と言われている。 【医学用語としての違い】 悪寒戦慄(shaking chill): 歯がガチガチ鳴るぐらいの震え(止めようと思っても止まらない) 悪寒(chill): 毛布を何枚か被りた…

風邪の対症療法の一例(咳、鼻水、咽頭痛)

風邪の主症状は咳、咽頭痛、鼻水の3つ。 ウィルス性感染であれば対症療法で様子を見て良い。 以下、処方の一例 【咳】 メジコン®(デキストロメトルファン)15mg1回1錠を1日3回 or 麦門冬湯(ばくもんどうとう)1回3gを1日3回 メジコン®(デキストロ…

”風邪”患者へのアプローチ

ERに風邪を訴えてきた患者が来た場合どうアプローチすればよいか 典型的な風邪では鼻汁、咽頭痛、咳嗽が急性に、そして同程度に生じる。 (3領域にまたがるのがウィルス性の特徴。細菌感染が同時に多領域に起こることは稀) 症状が単領域の場合でも殆どがウ…

風邪、気管支炎、肺炎の違い

風邪、気管支炎、肺炎の違い 【風邪と気管支炎の違い】 風邪=ウィルスや細菌が上気道や鼻の粘膜に侵入し、咳や鼻水を呈する 気管支炎=ウィルスや細菌が気管支の粘膜に侵入し、痰を絡んだ咳が出る 気管支炎とは所謂風邪による炎症が気管から気管支にまで波…

市中肺炎の退院基準(by IDSA)

市中肺炎の退院基準 市中肺炎とは… 一般社会生活を送っている人に見られる肺炎であり、普通の社会生活を営んでいる健康人に多い(高齢者や何らかの基礎疾患を有している人々も当然かかりうる)。入院中の患者に合併する院内肺炎と対をなす概念である。 一般…

肺炎疑いでいつ胸部レントゲンを取るべきか

◯上気道症状患者の中で肺炎は5%だけ 肺炎を疑うには病歴、身体所見、画像検査の3つが大事。 一般的には咳嗽や喀痰、発熱などの症状を呈している患者の胸部レントゲンで浸潤影を認めたときに肺炎と診断される。 単純に考えれば咳嗽、喀痰、発熱など上気道…

溶連菌咽頭炎の治療で抗菌薬10日間必要な理由

溶連菌咽頭炎の治療で抗菌薬投与10日間必要な理由 【溶連菌咽頭炎とは】 急性咽頭炎は細菌性とウィルス性に分けられる。80-90%がウィルス性と言われており抗菌薬の必要がないが、残りは細菌性の咽頭炎である。細菌性とウィルス性の鑑別、そして不必要な抗…

細菌性肺炎に対する治療薬の選び方

【細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別】 まず、治療しようとしている肺炎が細菌性肺炎であるかどうか判断が必要。以下の6項目で4項目以上満たせば非定型肺炎疑い、3項目以下であれば細菌性肺炎疑いである。(感度78%,特異度92%) ・60歳未満(細菌性肺炎では…

急性喉頭蓋炎の診断:vallecula signとthumb sign

急性喉頭蓋炎を疑ったら頚部レントゲンを取るべし 急性喉頭蓋炎とは喉頭蓋が細菌感染により腫脹し、上気道閉塞をきたす。成人発症でも15%は気管挿管が必要で、0.6%は死亡するという非常に危険な疾患でもある。 【急性喉頭蓋炎とは】 ・症状:咽頭痛、喘鳴、…

A群βレンサ球菌の壊死性筋膜炎にペニシリン・クリンダマイシン併用する理由

【壊死性筋膜炎とは】 壊死性筋膜炎とは感染症によって筋肉の表面の表面に沿って壊死が進行する疾患。原因菌としては皮膚に常在する黄色ブドウ球菌やA群β溶血性れんさ球菌(通称人食いバクテリア)などがある。刺し傷などの外傷によって表皮から筋肉の内部ま…

オグサワとは何か(オーグメンチン+サワシリン)

オグサワとは何か(オーグメンチン+サワシリン) オグサワとはオーグメンチンとサワシリンの併用の俗称。オーグメンチンとサワシリンはそれぞれアミノペニシリンの一種であり、商品名。 アミノペニシリンは従来のペニシリンと異なり、グラム陰性桿菌の腸内…

CRPと赤沈の違い

CRPと赤沈の違い CRPと赤沈は共に炎症と共に亢進する検査所見である。 CRPとはC-reactive proteinの略であり、急性相反応物質である。炎症性疾患や体内組織の崩壊がある場合に血中で増加し、炎症マーカーとして用いられる。一方、赤沈とは赤血球が試薬内を沈…

溶連菌性咽頭炎の診断基準:centor criteria

溶連菌咽頭炎の診断基準 急性咽頭炎は細菌性とウィルス性に分けられる。80-90%がウィルス性と言われており抗菌薬の必要がないが、15%ほどは細菌性の咽頭炎である。 細菌性とウィルス性の鑑別、そして不必要な抗菌薬投与を防ぐための方法が以下のcentor crit…

ゲックラー分類とその意義

ゲックラー分類(geckler分類)とは ゲックラー分類とは痰を評価するための指標である。 因みに”痰”とは… 肺や気管支といった呼吸器から分泌された、異物をからめとって外界に捨てるための粘液が、疾患などによって異常に多く分泌されるなどして順調に排出さ…

グラム染色と培養検査の違い

グラム染色と培養検査の違いと使い分け グラム染色*1 塗抹培養検査*2 塗抹染色法(特にグラム染色)と培養検査はそれぞれ検体にどのような細菌が含まれてくれるかを教えてくれる検査であるが、その検査結果の意味合いは異なる(一長一短でありどちらが優れて…

血液培養とその適応

血液培養はいつ行うか 血液培養とは文字通り血液を採取して、その中に菌がいるかどうかを培養することにより確かめる手法である。重篤な感染が疑われる場合は抗菌薬投与前に2セットの血液培養採取が必要である。 血液培養の適応は原則的には血液の中に菌が…

コアグラーゼとは(黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の違い)

コアグラーゼとは: 血漿を凝固させる働きを持つ酵素(フィブリノーゲンをフィブリンにする)のことであり、これを産生する菌は凝固成分で自らの菌体を覆うために白血球の攻撃から逃れられるようになる。よってコアグラーゼ陽性菌は体内で死ににくくなり、病…

ポビドンヨードの作用機序

*1 ポビドンヨードは一般細菌、真菌、ウィルス、結核菌など幅広い微生物を殺菌することの出来る消毒薬である(例外的にバチルス属の芽胞には効かない)。ポビドンヨードはヨードを少しずつ遊離させる製剤であり、毒性の強かったヨードチンキを改良させたもの…

血液培養を2セットとる理由

血液培養を2セットとるのは何故か 血液培養とは患者から採取した血液を培地入りのボトルに入れて感染症の原因となる細菌や真菌などが患者の血液内に侵入していないかどうかを調べる方法である。また、抗菌薬の感受性(効きやすさ)も調べることができる。 …

エンデミック、エピデミックとパンデミックの違い

エンデミック(endemic)とは特定の地域で一定の頻度で繰り返される感染症のこと。風土病ともいう。流行が地域内に限定され、他の地域に拡大しない。例としては日本紅斑熱など。 エピデミック(epidemic)とはエンデミックよりも規模が大きくなり、広範囲の集…

国試に出そうな感染症のゴロ合わせまとめ

国家試験に出そうな感染症の覚え方まとめ コンテンツ ・生ワクチンの覚え方 ・不活化ワクチン ・定期接種の覚え方 ・検疫感染症の覚え方 ・1〜3類感染症の覚え方 ・2類感染症の出席停止期間の覚え方 【生ワクチンの覚え方】 ゴロ:生意気な風に豆まけ、む…

莢膜とバイオフィルムの違い

莢膜とバイオフィルムの違い 違う概念であるが、似ている部分もあるので比較してみた。 ■莢膜とは 細菌の中にはその周囲を粘質な物質で覆っていることがあり、この粘質層と外界小野境界が明瞭な場合には莢膜と言い、外界との境界が明らかでない場合には粘液…

ブルジンスキー徴候とは何か

ブルジンスキー(Brudzinski徴候)とは 感染や出血などによって髄膜が刺激される時の症状を髄膜刺激症状というが、ブルジンスキー徴候とはその検査法の1つである。ブルジンスキー徴候には2つの方法がある。 1.仰臥位で首を曲げると膝や股関節が曲がる 2.…

網内系とは何か

網内系(=細網内皮系)とは何か 貪食細胞と網目状の繊維からなる変わった構造をした組織の事であり、この網目の組織に単球やマクロファージといった貪食細胞が存在し、外からやってきた異物や細菌を貪食してくれるフィルター(関所)のような役割を担ってい…