つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

output

肝胆系酵素上昇の原因と鑑別

肝胆系酵素上昇の原因と鑑別 まずASTやALTなど肝逸脱酵素がメインで上がっているのか、それともALPやγGTPなど胆道系酵素がメインで上がっているのか、それとも両方とも上がっているのかをみる。 端的に言えば ・トランスアミナーゼ<500でALP>正常上限の3倍…

腎機能低下の原因と鑑別

腎機能低下の原因と鑑別 採血で腎機能低下を認めた場合の対応 STEP1:以前の腎機能と比較する もともと腎機能が悪いのかどうか。 腎不全の既往のない患者の腎機能が悪ければ急性腎障害(AKI)。 もともと腎機能の悪い患者の腎機能が更に悪くなれば慢性腎不全…

高カリウム血症への初期対応

高カリウム血症の原因は↓記事参照 高カリウム血症の原因 - つねぴーblog ●高カリウム血症をみたらどうするか 1,まずはバイタルチェック。 高カリウム血症では徐脈を引き起こす(この原因は洞調律の消失による房室接合部調律。)必要になるかどうかは別とし…

高カリウム血症の原因

主に救急外来での話。 ・採血の前に 採血をしてしまえば高カリウム血症は拾い上げることができるが、それ以前にどういう患者で高カリウム血症を疑わねばならないか ・腎不全など腎機能低下が考えられる患者 ・頻呼吸を認める患者 ・意識レベル低下患者 ・シ…

低ナトリウム血症の重症度と補正方法

低ナトリウム血症をみたらまず鑑別するのは大前提として重症度に応じて補正をしていかなければならない。 ●一日にどれだけ補正してよいのか Naが120mEq/Lかつ神経所見あり(頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣など)の場合は緊急で補正を開始する必要がある。急性の…

丘疹、結節、腫瘤の違い

紛らわしい言葉の整理 皮疹において隆起しているものは丘疹、結節、腫瘤などと呼ばれる。それぞれどのように定義されているのだろうか。 【隆起性病変の大きさによる分類】 ・丘疹….0.5cm未満 ・結節…丘疹よりも大きい限局性の隆起性病変。0.5cm以上3cm未満…

乳酸リンゲル液と酢酸リンゲル液の違い

乳酸リンゲル液と酢酸リンゲル液の違い 【商品名】 乳酸リンゲル液→ソルラクト®、ラクテック®など 酢酸リンゲル液→ソルアセトF®、ヴィーンF®など 輸液製剤は浸透圧で分類すると等張電解質輸液と低張電解質輸液とに分けられる(下図参照)。等張電解質輸液と…

尿中Na濃度による低ナトリウム血症の鑑別

尿中Na濃度による低ナトリウム血症の鑑別 低ナトリウム血症の原因はまず血漿浸透圧によって次の3つに分類される。 ・高張性低ナトリウム血漿 ・等張性低ナトリウム血漿 ・低張性低ナトリウム血漿 に分類される。 画像引用:Ryu-SCEO 〜琉球大学 医学部PBL勉…

有効循環血液量とは何か

有効循環血液量とは何か 有効循環血液量とは動脈系に存在する血液量のことであり、組織灌流において重要な役割を果たしている。全身の末梢組織に酸素・栄養を運ぶのは動脈であって静脈ではないゆえに動脈の血液量を有効循環血液量と定義している。 有効循環…

SpO2低下の原因と初期対応

SpO2(酸素飽和度)低下の原因 SpO2の基準値は95〜100% ・SpO2低下している人が来たら何を考えるか(鑑別) ・肺疾患:肺炎、肺塞栓症、気管支喘息、気胸、胸水貯留、ARDSなど ・心臓疾患:心不全、心筋梗塞、大動脈解離、心タンポナーデ ・低換気:窒息、…

急性低ナトリウム血症の初期治療

急性低ナトリウム血症への対応 低ナトリウム血症では血漿浸透圧が低下することにより血液中から細胞へ水がシフトし、脳浮腫を引き起こしうる(致死的)。神経症状が出現している場合は速やかに補正を開始する必要がある。 ・脳ヘルニアの危険がある場合 →3…

水中毒の検査と治療

●水中毒とは 水中毒とは水の多飲によって生じる低ナトリウム血症のこと。腎機能に問題がなくとも精神疾患やストレスによって心因性に大量の水を飲んでしまう場合などに生じうる。大量の水を飲んだあとは、腎臓は水を尿から出そうとしてできるだけ希釈した薄…

Base Excessとは何か

●Base Excess(BE;ベースエクセス)とは何か ベースとは塩基、エクセスとは過剰の意味。つまりベースエクセスとは塩基がどの程度過剰かを意味する用語である。具体的には「体温37℃ , pCO2が40Torrにある血液をpH7.40に戻すために必要な塩基の量」と定義される…

ドパミンアゴニスト製剤の使い分けmemo

ドパミンアゴニスト製剤の使い分けmemo (レキップ®、ビ・シフロール®、ロチゴチン®、アポカイン®、パーロデル®、カバサール®) http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/061207html/index2.html ■ドパミンアゴニストはLドパと比べて抗パーキンソン病作…

舌下神経の診察とその意義

第12脳神経の舌下神経の診察方法とその意義 舌下神経は純粋な運動ニューロン。舌下神経核は延髄の第四脳室の腹側に存在し、舌筋を支配する。 by wikipedia 舌の診察において特に大事なのは以下の3つ 1,舌の偏位 2,舌の萎縮 3,線維束性収縮 ・舌の偏…

各種NOACの使い分けmemo

◯ワーファリンとNOACの違い NOACは半減期が短く効果発現までの時間も短い 出血リスクはNOACの方が少ない 薬剤干渉がないのでワーファリンよりも服用しやすい PTの測定(モニタリング)が必要ない ワーファリンは納豆など食事制限あるがNOACにはない ◯4種類…

未分画ヘパリンと低分子ヘパリンの違い

未分画ヘパリンと低分子ヘパリンの違い ヘパリンとは抗凝固薬の1つであり、血栓塞栓症やDICの治療、塞栓症の予防などに用いられる。ヘパリンは抗凝固因子であるアンチトロンビンを活性化させて抗凝固能を賦活化して凝固系を抑制する。 いわゆるヘパリンは分…

静脈留置針で用いる針の太さの使い分け

静脈留置針(サーフロー)で用いる針の太さの使い分け 留置針の単位はゲージ(G)で表されるが、ゲージとは1インチ(25.4mm)の何分の1かを表す単位であり、例えば22Gは1/22インチということになる。よって数字が大きくなればなるほど針の外径は小さくなる。 …

主訴:血尿の鑑別メモ

肉眼的血尿で想起するもの 尿路感染症(膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎など) →排尿時痛や発熱の有無の確認 →CVA叩打痛や前立腺の圧痛の有無。 →尿検査、血液検査、培養 尿管結石、腎結石 →突然の側腹部痛、背部痛 →腹部CTで結石の有無を確認 →ブスコパンやボル…

ベンゾジアゼピン系睡眠薬分類メモ

睡眠薬分類ちょいメモ ◯睡眠薬の主流は大きく分けてベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の2つ。 その他、最近はメラトニン受容体作動薬(ロゼレム®)、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ®)も使われるようになってきている。 ◯ベンゾジアゼピン系は…

PSVTへの対応

PSVTへの対応(memo) 発作性上室頻拍(PSVT:paroxysmal supraventricular tachycardia) ・PSVTとは房室結節や副伝導路などを介するリエントリーによる上室性の頻拍の総称。色んなタイプがある。 ・症状は突然発症する動悸、血圧低下が原因でめまいや意識消…

顔面神経麻痺への初期対応

顔面神経麻痺を診るポイントは何と言っても中枢性か末梢性かの鑑別。 ・顔面神経麻痺では額のしわ寄せ不可、閉眼不可、鼻唇溝の消失、口の閉鎖不全などの症状を呈するが、末梢性顔面神経麻痺であれば一側性の全ての症状が出揃うのに対して、中枢性であれば額…

咳の鑑別outputメモ

咳outputメモです 感冒咳嗽 先行する咽頭痛、鼻汁、発熱 →咽頭発赤 後鼻漏 喉に貯まる(飲み込みたくなる)痰、夜寝ると咳 →咽頭後壁の鼻汁 GERD(胃食道逆流症) アルコール多飲、喫煙、食後の胸焼け、特定の食事で増悪 →肥満や口臭 →上部消化管内視鏡、PPI…

てんかん重積発作の定義と初期対応

◯てんかん重積発作の定義 てんかんとは大脳皮質神経細胞の過剰興奮によって起こる痙攣などの症状を発作的に繰り返す病態である。(てんかん≠痙攣) てんかん重積発作とはてんかん発作後の意識障害から回復する前に次の発作を起こして意識障害が連続し、その…

急性心筋梗塞の初期対応MONAの意味

心筋梗塞の初期対応→MONA 参考:ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版) MONAとはMorphine, Oxygen, Nitrate, Aspirinの頭文字を取ったもの。 M:モルヒネ(塩酸モルヒネ) 疼痛が強いと交感神経亢進により心負荷が増加し、心筋酸…

killer sore throat5つを簡単にご紹介

怖い咽頭痛5つを簡単にご紹介 ERで咽頭痛を主訴に来る患者の大半はただの風邪であるが、中には致死的な疾患も混ざっているから要注意。海外では死にうる咽頭痛疾患5つをまとめてkiller sore throatなどと呼ばれている。 【killer sore throat】 1,急性喉…

精巣捻転と精巣上体炎の鑑別

精巣捻転と精巣上体炎(副睾丸炎)の鑑別 精巣捻転は発症後6時間以上で不可逆的な障害が起こり、精巣が壊死するため急性陰嚢痛は否定されるまで精巣捻転として扱う。以下精巣捻転と精巣上体炎の違いを紹介。この表のような典型例であれば鑑別に難しくないよ…

腰椎椎間板ヘルニアへのアプローチ

腰椎椎間板ヘルニアのメモ (記事の再構築予定…) ◯腰椎椎間板ヘルニアの概要 好発年齢は20〜40代と若年に多い。ヘルニアの中で腰椎ヘルニアが最も多い。 後側方へのヘルニア脱出が多いので健側と患側が出来る(稀に中央でヘルニア)。 好発部位はL4/L5…

ルートキープの手順(途中…)

ルートキープの手順 ・準備するもの:輸液製剤、輸液セット、延長チューブ、三方活栓 ・輸液セット開封しクレンメ閉じる ・輸液セットと三方活栓、延長チューブを接続する ・輸液製剤のゴム栓部分の保護フィルム剥がしてアル綿で消毒 ・輸液セットの導入針を…

いつ嫌気性菌を疑うか(横隔膜の上と下で分けて考える)

嫌気性菌感染をいつ疑うか 嫌気性菌とは酸素のない環境下で増殖する菌である。が、健常人においても消化管や口腔あるいは膣などの粘膜の常在細菌叢にも一部定着している。常在菌だけでは感染症を起こさずに無害であるが、何らかの原因によって宿主側の環境の…