水中毒の検査と治療
●水中毒とは
水中毒とは水の多飲によって生じる低ナトリウム血症のこと。腎機能に問題がなくとも精神疾患やストレスによって心因性に大量の水を飲んでしまう場合などに生じうる。大量の水を飲んだあとは、腎臓は水を尿から出そうとしてできるだけ希釈した薄い尿を出そうとする。が、水中毒のように腎臓の能力を上回るペースで水を飲んでしまうと排泄できずに体に溜まってしまう。低ナトリウム血症をみたら鑑別に水中毒をまず挙げる。
●尿浸透圧で水中毒かどうかわかる
尿浸透圧の基準値は100 ~ 1300mOsm/kgH2Oと幅が広く、飲水量によって大きく変動する。尿浸透圧が100mOsm/kg以下であれば、最大限に尿が希釈されているということなので水中毒が疑われる。
●尿浸透圧が測れなければ尿比重を
尿浸透圧がすぐに測定できない場合は尿比重を調べて尿浸透圧を概算する。
尿浸透圧≒(尿比重の下二桁)×20〜40
という関係がある。
例えば尿比重が1.020であれば尿浸透圧は400〜800mOsm/lに、尿比重 1.010 であれば尿浸透圧は 200 〜 400 mOsm/lとなる。
尿比重もわからない場合は患者の尿を直接見る。主観的であっても色が非常に薄く見えて更に尿量も多ければ水中毒が疑われる。
●水中毒の治療
水中毒による低ナトリウムは、腎臓からどんどんと薄い尿が出ているので飲水制限をするだけで速やかに改善する。低ナトリウムがひどいときに高張性の食塩を投与すると急速に補正されすぎてしまうためにむしろ危険。