Na量とNa濃度の意義の違い
Na量とNa濃度の意義の違い
・体内のNa量は細胞外液量を規定する
Naには水を引っ張る力があるのでNaが多ければ細胞外液量も増えるし、Naが少なければ細胞外液量は減る。細胞外液量が増えればいわゆる浮腫の状態、細胞外液量が減れば脱水。つまり、浮腫や脱水というのはNa量によって引き起こされる(Na濃度ではない)。細胞外液量を調節するために腎臓のNa調節系(容量調節系)が働いている。健常人であれば塩分をたくさんとっても少なくとっても腎臓が尿から排泄するNa量をコントロールしているために体内のNa量は一定、つまり細胞外液量も一定に保たれる。
・体内の水の量が血漿Na濃度を規定する
低ナトリウム血症や高ナトリウム血症などのナトリウム濃度の異常はNaの量で決まっているのではなく、体内の水の量で決まっている。汗を大量にかいて水を失った状況で水を飲まなければ体内の水は単純に減少することになるので、血漿ナトリウム濃度は上昇、血漿浸透圧も上昇する。血漿浸透圧の上昇を引き金に、体は水の量を増やそうとADH分泌の亢進、口渇中枢の刺激を引き起こす。
【まとめ】
(Na量の異常は細胞外液の異常に)
Na過剰→浮腫
Na欠乏→脱水
(体液の水分量の異常は血漿Na濃度の異常に)
水過剰→低ナトリウム血症
水不足→高ナトリウム血症