細胞外液量の評価と低Naの鑑別
低ナトリウム血症へのアプローチ
画像参照:琉球大学 医学部PBL勉強会
低ナトリウム血症を見たらまずは血漿浸透圧で高張性低ナトリウム血症、等張性低ナトリウム血症を除外。浸透圧280mOsm/l以下であれば低張性の本物の低ナトリウム血症。
そして更には水の多飲で起こる水中毒を除外する。これらが除外できたあと、次のステップとしてすることは細胞外液量の評価。細胞外液量が上昇、変化なし、低下などで低ナトリウム血症の鑑別を絞ることができる。
細胞外液量が低下している場合
→嘔吐、下痢、利尿薬の使用、低アルドステロン症など
細胞外液量正常の場合
→SIADH、MRHE、甲状腺機能低下症、糖質コルチコイド欠乏症、下垂体・副腎機能低下症など。(が、細胞外液量正常というのは実際には評価難しい)
細胞外液量が上昇している場合
→心不全、腎不全、肝硬変、ネフローゼ症候群など
【細胞外液量の評価の方法】
細胞外液量の評価は総合的に行うことになる。
身体所見:
頸静脈怒張や全身浮腫があれば細胞外液量上昇
皮膚のツルゴール消失や腋窩の乾燥など脱水所見あれば細胞外液量低下
血液検査:
BUN、Cre、Hbなどを見て評価。細胞外液量が減少していればこれらの値は濃縮により上昇する。その逆もまた然り。
画像検査:
胸部レントゲンで心拡大があれば心不全で細胞外液量の上昇を示唆する。その他にも腹部エコーで腹水などの評価も行う。
既往歴、現病歴:
心疾患、腎疾患、肝疾患などあれば細胞外液量が増えている可能性示唆。その他、精神病の既往で水多飲による水中毒や体重変化なども重要な情報。
なぜ、細胞外液量の評価が重要なのか。低ナトリウム血症だからといって全例にナトリウム投与をすればよいわけではない。細胞外液量の増加による低ナトリウム(その中でも特に心不全やネフローゼ症候群)の場合は基本的に水分制限が必要なるから対応が全く異なる。