つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

なぜ?

ショックへの輸液ではNaを多く、Kを少なくする理由

ショック患者への輸液ではNaを多く、Kを少なくする理由 輸液に入っているナトリウム量が血管内に残る水分量を規定する(Naが多いほど浸透圧も高くなるため水が引っ張られて血管内に残る)。よって血圧が低下している患者にはNaの多い輸液製剤を投与する。 続…

Na量とNa濃度の意義の違い

Na量とNa濃度の意義の違い ・体内のNa量は細胞外液量を規定する Naには水を引っ張る力があるのでNaが多ければ細胞外液量も増えるし、Naが少なければ細胞外液量は減る。細胞外液量が増えればいわゆる浮腫の状態、細胞外液量が減れば脱水。つまり、浮腫や脱水…

急性低ナトリウム血症の初期治療

急性低ナトリウム血症への対応 低ナトリウム血症では血漿浸透圧が低下することにより血液中から細胞へ水がシフトし、脳浮腫を引き起こしうる(致死的)。神経症状が出現している場合は速やかに補正を開始する必要がある。 ・脳ヘルニアの危険がある場合 →3…

敗血症における乳酸測定の意義

●ショック状態の時、乳酸の上昇が起こる。 末梢循環が保たれなくなると、末梢組織・細胞レベルで低酸素状態になる。酸素がなくなると好気呼吸であるクエン酸回路、電子伝達回路が回らなくなる。すると嫌気的呼吸の解糖系のみでエネルギー産生することになる…

溶連菌感染症疑いにペニシリン投与して良いのか

溶連菌感染症では第一選択的にアモキシシリン(サワシリン®)が用いられる。溶連菌感染症への治療ではそれで良いのだが、発熱、咽頭痛、扁桃の腫大、咳がなしなどの症状がそろっていても咽頭培養をしないことにはあくまで”疑い”である。 溶連菌感染症と類似…

心膜摩擦音の機序とその音声紹介

心膜摩擦音の機序とその音声紹介 心膜摩擦音とは心膜炎で聴取される心雑音。 心膜炎とは心臓を覆っている心膜が炎症を起こした状態であり、急性心膜炎と続発性心膜炎に分類される。 ・急性心膜炎は原因のはっきりしない特発性か、ウィルス感染によるものが多…

急性膵炎の初期治療で大量輸液が必要なのは何故か

急性膵炎の初期治療で大量輸液が必要という話 とある日外会誌によれば 急性膵炎の重症例の第一病日では7,000~8,000ml/day、第二病日では4,000~5,000ml/day 中等症においては第一病日に4500~5000ml/day、第二病日以後2000-2500ml/dayの輸液を要する とされ…

尿ケトン陰性でもDKAは否定できないという話

尿ケトン陰性でもDKA(糖尿病ケトアシドーシス)は否定できないという話 糖尿病患者が脱水、著しい口渇、腹部症状などを呈している場合、糖尿病ケトアシドーシスなどが疑われる。糖尿病性ケトアシドーシスではインスリン欠乏状態になるために脂肪酸がエネル…

心不全による胸水貯留は片側性のことも少なくないという話

心不全、特に左心不全が起こると全身に血液をうまく送れなくなり、血管から間質に漏れ出て、そのスピードがリンパ管から取り除かれる速度を上回ってしまうために間質に液体が貯留する。その結果、肺水腫、胸水貯留。 心不全では一般的に両側性に胸水が貯留す…

末梢性顔面神経麻痺と中枢性顔面神経麻痺の鑑別

【中枢性・末梢性顔面神経麻痺のイメージ】 画像参照:http://heart-clinic.jp/index.php?%E7%A5%9E%E7%B5%8C ◯中枢性の顔面神経麻痺の場合(核上性顔面神経麻痺) 病変の対側の顔面下部のみの麻痺が生じる →額のしわ寄せや閉眼は出来るが、鼻唇溝は浅くなり…

Lドパの半減期が短いが効果の持続が長い理由

L-dopaはパーキンソン病においてドーパミン補充目的で用いられる。Ldopaは血中半減期が1時間程度と非常に短いが、病初期においてはLdopaの血中濃度と脳内濃度は相関せず、長時間の安定した効果を発揮する。 画像参考元:パーキンソン病の本格的な治療が進み…

足背動脈触知の方法とその意義

◯足背動脈の場所とその触診方法 足背動脈とは前脛骨動脈の延長で、足背において長母指伸筋腱の外側(小指側)に位置する動脈のことである。内果と第三指の付け根を結ぶ線の中心部あたりを通る。 触診のコツとしては、患者に下肢を伸ばしてもらい、母指を上に…

肺がんでノッチが見られる理由

肺がんでノッチが見られる理由 ノッチ(notch)とは結節影に見られる切込み(凹み)のことであり、悪性腫瘍を示唆する所見である。悪性腫瘍ではがん細胞が無秩序に分裂、突然変異を繰り返すために部分部分で細胞増殖の速度は異なり、ガン組織の細胞構成は非常…

髄膜炎疑いでは皮疹にも注目

髄膜炎といえば項部硬直、発熱、意識障害が3徴として重要であるがこれらに加えて皮疹も1つの判断材料になる。 Clinical features and prognostic factors in adults with bacterial meningitis. - PubMed - NCBIによれば細菌性髄膜炎患者の26%に皮疹が出…

クモ膜下出血の心電図変化が起こる理由

クモ膜下出血の心電図変化 クモ膜下出血の患者の多くで心電図異常を認めることが知られている。 A study of ECG abnormalities and myocardial specific enzymes in patients with subarachnoid haemorrhage. によれば次のように報告されている。 【クモ膜下…

細菌性副鼻腔炎における抗生剤の選択は?

細菌性副鼻腔炎の原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラなどが代表的。これらは中耳炎の原因菌とほぼ同様である(何故なら副鼻腔炎と中耳は解剖学的に連絡しているため)。 米国感染症学会(IDSA)による副鼻腔炎ガイドラインではエンピリカルな治…

腰椎椎体間ヘルニアが自然軽快するのは何故か

腰椎椎体間ヘルニアが自然軽快するのは何故か 椎間板ヘルニアは脊髄神経根を圧迫することにより疼痛が出現する病態であるが、多くの場合その痛みは自然に軽快する。 脱出した腰椎椎間板が血管新生を惹起し、様々なサイトカインが誘導されマクロファージを始…

シンプルマスクは5L/分以上で投与しないといけない理由

シンプルマスク(簡易酸素マスク)では酸素投与を5L/分以上で投与しないといけない。 簡易酸素マスクは上の写真のように鼻と口とをすっぽりと覆うマスクである。その覆っている空間(およそ200mlほど)はリザーバーとしての働きもあるのでボンベから送り出…

ネブライザー付きマスクの流速は30L/分以上に設定する理由

ネブライザー付きマスクの流速は30L/分以上にする理由 例えば10L/分投与をすると、1秒あたりは167mlの酸素を投与することになる。患者の1回換気量を500ml、吸気時間を1秒とするとボンベからもらえる酸素は167mlのみでは足りないので残りの334ml(500…

静脈血液ガスは有用か?

静脈血液ガスは有用か? 患者の呼吸状態や酸塩基平衡を調べる際に動脈血液ガスを測定するのが一般的であるが、動脈ではなく静脈血液ガスでその代用となるのであろうか。 端的に言えば ・pHとHCO3-の評価は静脈血液ガスでも代用可能 ・PCO2は静脈ガスの値と動…

急性アルコール中毒に点滴をする意味

急性アルコール中毒に点滴をする意味 ERに搬送されてくるアル中患者にはとりあえず点滴全開でいくのが基本。 点滴をする目的は脱水の補正や薬剤投与のルートキープのためである。アルコール中毒患者では嘔吐を繰り返して水もとれないため脱水が進行する可能…

めまいの性状を問診で聞く意味

めまいの訴えには様々なタイプが有る。 回転性:天井が回るようなめまい 失神性:気が遠くなるようなめまい 浮動性:ふわふわと浮くようなめまい などなど めまいを主訴にくる患者には「どのようなめまいですか?」と問診されることが多い。教科書的にはBPPV…

プレーン徴候は精巣捻転の診断に有用か?

プレーン徴候は精巣捻転の診断に有用か? 【プレーン徴候の機序】 プレーン徴候(prehn徴候)とは急性陰嚢痛の患者に対して精巣を挙上することで痛みが増強する徴候である。精巣を持ち上げて痛みが軽快すれば精巣上体炎を疑い、痛みが増強すれば精巣捻転を疑…

肺結核がS1,2,6に好発する理由

肺結核は上葉の肺尖部(S1,S2,S1+2)や背側の区域(S6)に好発。 画像参照:http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w1.html その理由としては結核菌は偏性好気性菌(酸素がないと生きていけない菌)であるために肺の中でも酸素濃度の高い場所に生…

肋骨骨折に鎮痛薬が大事な理由

肋骨骨折に関しては鎮痛薬はただの痛み止め以上の意義がある。 肋骨は呼吸によって変動する骨であるので肋骨骨折患者は出来るだけ息を大きくしないようにして痛みが生じないように意識的に、あるいは無意識的に呼吸をコントロールする。深呼吸を出来るだけし…

低アルブミンでアニオンギャップ補正する理由

低アルブミン血症ではアニオンギャップを補正する必要がある。 アニオンギャップ= 測定できない陰イオンー測定できない陽イオン≒ Na-(Cl-+HCO3-) dであるがこの「測定されない陰イオン」にはアルブミンも含まれる(アルブミンは血液中で陰イオンとして存…

アニオンギャップを計算する意義

アニオンギャップの計算とその意義 ◎アニオンギャップの式の導出 アニオンとは陰イオンのこと。ギャップとは差のこと。アニオンギャップとは陽イオンと陰イオンの差という意味で用いられる。 体内において陽イオンと陰イオンのそれぞれの合計は一緒。 陽イオ…

低酸素で肺血管が攣縮するのは何故か

肺血管は低酸素になるとその部分で血管収縮が起こり血流を減少させることが知られている(=低酸素性肺血管攣縮)。これは酸素の少ない肺血管にいくら血流を送ってもガス交換を期待できないため、酸素の十分にある他の肺血管に血流をその分回すことでガス交…

尿路結石発作が明け方に多いのは何故か

尿路結石発作が明け方に多いのは何故か 【尿路結石のイメージ図】 参照:第2章 腎・泌尿器領域の主な疾患 結石 尿路結石発作とは腎臓、尿管、尿道といった尿路に石が嵌頓することによって突然の激痛を生じることをいう。 Circadian pattern in occurrence of…

髄膜炎に対してkernig徴候はどの程度有用か

Kernig徴候とは髄膜刺激徴候に対するスクリーニング検査。 検査の手順: 1,患者の片側の股関節、膝関節を共に90度に屈曲してもらう。 2、股関節を90度に屈曲させたまま、患者の大腿伸側を掴んで膝関節をゆっくり進展させていく。 3,膝関節が135…