溶連菌感染症疑いにペニシリン投与して良いのか
溶連菌感染症では第一選択的にアモキシシリン(サワシリン®)が用いられる。溶連菌感染症への治療ではそれで良いのだが、発熱、咽頭痛、扁桃の腫大、咳がなしなどの症状がそろっていても咽頭培養をしないことにはあくまで”疑い”である。
溶連菌感染症と類似の症状を取りうるものとして伝染性単核球症(EBV)があるが、EBVに対してアンピシリンやアモキシシリンなどを投与すると皮疹が出現してしまうリスクが高い。
そこで溶連菌感染症の診断基準であるcentor criteriaなどで疑いはあるもののEBVも完全には除外できていない場合はサワシリンの投与はやめて他の抗菌薬を使うほうが望ましい。
レジデントのための感染症診療マニュアルによればペニシリンに代わる抗菌薬として
・ケフレックス®(第一世代セフェム)
・ダラシン®(クリンダマイシン)
・クラリス®(クラリスロマイシン)
・ジスロマック®(アジスロマイシン)
などが推奨されている。いずれも服用期間は10日間。症状緩和のためというよりもリウマチ熱など合併症予防のため10日間必ず服用してもらう。
*ただ、注意点としては日本においてはマクロライド系耐性の溶連菌が多いので、扁桃周囲膿瘍など合併が疑われる場合はクラリスロマイシンやアジスロマイシンなどマクロライド系の抗生剤使用はしない。