低酸素で肺血管が攣縮するのは何故か
肺血管は低酸素になるとその部分で血管収縮が起こり血流を減少させることが知られている(=低酸素性肺血管攣縮)。これは酸素の少ない肺血管にいくら血流を送ってもガス交換を期待できないため、酸素の十分にある他の肺血管に血流をその分回すことでガス交換の効率を良くしようとしているのである。換気血流不均衡を是正することで全体のガス交換の効率もアップさせる。換気が悪いところは血流も悪くしてミスマッチを起こさせないようにするという非常に賢いシステムである。もし低酸素状態が広範囲の肺血管にあると広範囲の肺血管で血管収縮が起こることになり、肺動脈圧の上昇を引き起こし、肺高血圧になってしまう。
このシステムは胎児循環においても大きな意義があり、出産前の胎児では肺に酸素がないので肺血管は全て収縮しているが、生まれて啼泣すると肺に酸素が入り込み、その分肺血管が一気に拡張して肺血流が全開になる。