クモ膜下出血の心電図変化が起こる理由
クモ膜下出血の心電図変化
クモ膜下出血の患者の多くで心電図異常を認めることが知られている。
A study of ECG abnormalities and myocardial specific enzymes in patients with subarachnoid haemorrhage. によれば次のように報告されている。
【クモ膜下出血の心電図の頻度】
何らかの異常所見(経時的に観察した場合):91%
T波異常:68%
QTc延長:68%
ST変化:46%
U波:41%
不整脈:32%
これらの心電図変化は、左室の心内膜下虚血を反映したものであり、 クモ膜下出血によって交感神経が過剰になり、カテコラミンが大量放出されることによる心筋障害あるいは冠動脈末梢の微小循環障害が原因と推測されている。虚血が生じることが原因として考えられている。また、一過性に左室癖運動異常を認めることもあるが、強いCK上昇は伴わず、病理学的に左室心筋の壊死を認めるという報告もある(→たこつぼ型心筋症様)。また、SAH患者の虚血様の心電図変化では1年後の神経学的予後に関係しているとの報告もあって興味深い(Junttila E, et al:Anesth analg.116:190-197.2013)。
くも膜下出血の診断は頭部CTの方が診断能力は高いが、CTではっきりしないが「突然の、人生最悪の頭痛」など病歴的にはくも膜下出血が疑わしいという場合は心電図検査も1つの参考になるかもしれない。特に前回との比較が可能な場合なら評価しやすい。