つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

結核を疑ったらとりあえず提出する検査は

◯胸部レントゲン、CT まずは正面レントゲン画像を撮影。必要に応じてCT撮影。 典型的には上肺野を中心とした空洞性病変であるが、高齢者では誤嚥性肺炎などと区別がつかないことも多く、画像で結核の診断は難しいと考える。 ◯3連痰(痰培養検査、塗抹染色)…

いつ結核を疑うか

結核診断の第一歩は結核を疑うことである(決して稀な疾患ではない) ◯アメリカのガイドラインによると次の状況で結核を疑う ・2−3週間以上続く咳+(発熱、寝汗、血痰、体重減少のうちの1つ以上) ・結核リスクの高い患者で原因不明の呼吸器症状が2−3週…

気管支炎に抗生剤は使っても肺炎予防効果はない

気管支炎=ウィルスや細菌が気管支の粘膜に侵入し、痰を絡んだ咳が出る。 肺炎=気管支炎より更に先の肺胞で炎症が起きている状態。バイタルサインに異常が出る。 気管支炎と肺炎の鑑別はレントゲンで肺野に浸潤影があるかどうか。 よって、肺炎のような症状…

胸部レントゲン仰臥位のみでは肺炎の除外は難しい

◯肺炎の診断のゴールドスタンダードは胸部レントゲン。 咳嗽や喀痰、発熱など上気道症状があって肺炎を疑う時はまず胸部レントゲンで肺炎の評価をする。それでも肺炎像が認められない場合は、精査目的に胸部CT撮影となるのが一般的である。しかし、胸部レン…

尿毒症による意識障害はいつから現れるか?

意識障害の鑑別で有名なAIUEOTIPSのうちのU=Uremia(尿毒症)は具体的にどのような状況下で疑うべきなのだろうか。 一般的には慢性腎不全が進行して尿毒症という状態になると、倦怠感、吐き気、食欲低下、頭痛、呼吸困難、出血症状など様々症状が出現しうる…

神経所見すべて陰性のめまい患者。入院か帰宅かの判断は?

突然発症のめまい患者の診察で大事なのは中枢性めまいか末梢性めまいかの鑑別である。眼振含め中枢性めまいを疑う神経所見がない患者でめまいが持続しているとき、同アプローチしたら良いのだろうか。 頭部CTは急性期脳梗塞の感度が低いため陰性でも脳梗塞を…

めまい患者の診察では膝かかと試験も忘れずに

主訴がめまいの患者が来院された時には基本的に一通りの神経診察をする。 特に小脳梗塞を疑い協調運動障害があるかどうかも調べるわけであるが、バタバタしているなどの理由で指鼻指試験だけで小脳症状はなしと考えられてしまうことがある。 小脳の運動調節…

中枢性めまいはMRIでは除外できないという話

めまい患者の対応でいちばん大事なのは脳血管障害による中枢性めまいなのか、それともBPPVや前庭神経炎などの末梢性めまいなのかの鑑別である。 神経診察が最も重要ということは言うまでもないが、眼振含め神経所見が全く異常のない場合はやはり画像検査に頼…

胆石発作でのウルソの適応

胆石発作でのウルソの適応メモ 症候性胆石発作では外科治療の適応ではあるが、手術希望がないときなどウルソを考慮。胆石の状況によって奏効率は大きく異なる。特に次のような条件を満たした時に奏功しやすい。 【ウルソの適応】 ・症状が軽度のみ ・<5mmの…

栄養障害患者に最初から高エネルギーを投与してはいけない理由

◯栄養は少なければ栄養障害、多ければ過剰栄養 栄養投与量は必要量を下回れば栄養障害を招いて筋肉も弱っていってしまうが、必要量を大幅に上回ってしまうと過剰栄養になり脂肪肝になる他、感染症など様々な合併症のリスクが上昇してしまう。 ◯絶食患者に高…

ビーフリードは入院何日目から開始するか

急性期疾患の入院患者で食事摂取量が少なかったり何かしらの原因で絶食状態の患者において輸液をどう選択するか。 経腸栄養が無理で長期間の絶食が確実なのであれば中心静脈栄養が選択されるが、そうでなければまずは末梢静脈ルートでの輸液で様子見ることと…

ビーフリードにイントラリポスを入れると静脈炎予防になる話

ビーフリードにイントラリポスを入れると静脈炎予防になる話 ビーフリードはブドウ糖とアミノ酸が入った末梢静脈栄養製剤であるが、浸透圧が高いため末梢の細い血管に点滴で入れていると静脈炎を起こしてしまうリスクが高い(その結果、発赤や疼痛、感染徴候…

イントラリポス(脂肪製剤)を投与するべき理由

イントラリポス(脂肪製剤)を投与するべき理由 3大栄養素、糖質・アミノ酸・脂質において脂質が最もエネルギー効率がよい。 糖質は1g=4Kcal、アミノ酸も1g=4kCalだが、脂質は1g=9kCalもある。 また、静脈栄養施行時には、非タンパクカロリー…

薬剤性肝障害を考えたら

・肝胆道系酵素上昇をみたら、根拠もなく薬剤性と思い込まずに肝障害をきたしうる他の原因を丁寧に除外する。 ・薬物性肝障害ではAST,ALT上昇メインの肝細胞障害型とALP、γGTP上昇メインの胆汁うっ滞型、あるいは両方が混在したタイプといずれの可能性もあり…

一日にブドウ糖はどの程度必要か

ブドウ糖に代表される炭水化物はエネルギー投与量の 50 ~ 60%と、総エネルギー 投与量の最も多くを占める栄養素である。 ソルデム3号液などの維持液にもブドウ糖が入っているが、栄養的に十分なわけではなく、水分や電解質をコントロールするため…

複数の酸塩基平衡のある血液ガスの解釈

複数の酸塩基平衡のある血液ガスの解釈メモ ◯例1 pH:7.30,PaCO2:23,HCO3-:12.4,Na120,Cl87,乳酸27.mg/dl ・アシデミア ・HCO3-が低下しているので代謝性アシドーシス ・HCO3-が基準より11.6低下しているので、11.6×1.4=16.2程度CO2低下で代償されるは…

呼吸器疾患リスクのせん妄患者に対して気をつけること

Q,抗精神病薬と抗不安薬ではどちらが呼吸抑制をきたしやすいのか? 抗精神病薬はドーパミン、セロトニンの神経伝達を阻害する。 一方、抗不安薬はGABA系の神経伝達を増強し、筋弛緩効果を発揮する。 結果として、呼吸器合併症を保つ場合は抗不安薬のほうが呼…

循環器疾患患者に対するせん妄治療で気をつけること

循環器疾患患者に対するせん妄治療で気をつけること ◯ハロペリドールは安全 せん妄治療の第一選択薬とも言えるハロペリドール(セレネース®)は心血管系に与える影響が少ないためいつもどおり使用可能。QT延長のリスクがあるとも言われているので心電図の定…

目標心拍数とダブルプロダクトの違い

運動負荷心電図施行の際 ①ダブルプロダクト(DP=二重積)=心拍数×血圧が25000以上 あるいは ②目標心拍数(年齢別予想最大心拍数の85%以上、すなわち(220-年齢)*0.85) のどちらかを達成が終了の基準となる。 ダブルプロダクトは心筋の酸素消費量と強い相関…

せん妄患者にアタラックスPを使ってよいのか?

アタラックスPは第1世代ヒスタミン薬でポララミンと同じ立ち位置にある薬で睡眠作用があるため鎮静目的にしばしば用いられる。 病棟でせん妄患者が発生したときに「寝かせるためにアタラックスPをオーダーして下さい」と言われたこともあるがアタラックスPに…

せん妄にベンゾジアゼピン系を使ってよいのか?

■せん妄にベンゾジアゼピンを使うのはいつか? ・基本的に、ベンゾジアゼピン系薬剤はせん妄の悪化につながる! ・単独での使用を支持するエビデンスはない。 ・が、そうは言ってもせん妄を起こした患者にセレネース®(ハロペリドール)など抗精神病薬を増量…

せん妄起こしそうな患者がベンゾジアゼピン定期内服していたら

ベンゾジアゼピン系薬剤は言わずとしれたせん妄の誘発因子。 何らかの原因で入院になっても内服を継続するとせん妄を発症するリスクが有る。 ◯パターン1:入院時よりせん妄起こしてる場合 もし、入院時でせん妄を発症もしくはいかにもせん妄を発症しそうで…

「セレネース打ったけど効きません!」と言われたら

「セレネース打ったけど効きません!」と言われたら よく病棟からのコールでありがちな、「せん妄に対してハロペリドールを使ったけど全然寝てくれません!どうしましょう!」という場合への対応について せん妄に対してはセレネース®(ハロペリドール)は標…

軽症のせん妄への対応(内服可能な場合)

暴れていたり、内服拒否の状況であればハロペリドール(セレネース®)筋注もしくは静注するしかないが、内服をしてもらえそうな状況であれば内服で対応。 第一選択 ◯リスペリドン(リスパダール) ・ハロペリドールの内服よりもパーキンソニズムの副作用も少…

せん妄に対するハロペリドールの使い方

◯ハロペリドールの使い方についてまとめ ・内服、筋注、静注どれでも使えるので便利。 (内服ができればリスパダールなど他の選択肢があるが、内服もしてくれない患者においては点滴・筋注投与可能なハロペリドールは強い) ・暴れてて静脈ルートも取れない…

心房粗動をみたら

メモ 【一般的な話】 ・心房粗動(AFL)は心房細動(Af)と似ているところと違うところを抑える ・Af同様に、脳梗塞のリスクがあるため抗凝固薬で脳卒中予防を行う。 (心房粗動の方がリスクは少し低いが無視できない) ・Afと異なり心房粗動は自然停止しにく…

せん妄起こしそうな患者が入院してきたらするべきこと

せん妄起こしそうな患者が入院してきたらするべきこと 1,せん妄のリスク因子を確認する ・準備因子:高齢者、認知症、脳血管疾患、アルコール多飲歴 ・促進因子:入院などの環境変化、心理ストレス、便秘、尿閉、疼痛 ・直接因子:身体疾患(炎症、脱水、…

肝酵素上昇の原因を網羅的に調べる時の項目

・A型肝炎 →IgM-HA抗体とHA抗体 初感染を示唆するIgM-HA抗体陽性であれば急性A型肝炎と診断できる。 HA抗体はIgM、IgA、IgGの各クラスの総和であるが、その大部分はIgG。 よってHA抗体が強陽性であればA肝炎の既感染と考えることができる。 ・B型肝炎 →HBs…

僧帽弁は弁が2尖弁なのに、三尖弁はなぜ3つ弁があるのか

三尖弁と僧帽弁は同じ房室弁なのに弁の解剖が異なる。 僧帽弁は2尖なので閉鎖する時にがっちりと閉まるために逆流を起こしにくい。そのかわり前に流れる血流量は限られる。 一方で、三尖弁は前に流れる血流は多くなる代わりに、閉鎖する時にきれいに閉じに…

発作性心房細動に対して抗不整脈薬とDCのどちらを選ぶか

Pafに対してDCを選択するのは ・患者が希望している場合 ・抗不整脈薬による除細動が困難な場合 ・抗不整脈薬の使用がDCよりも危険と判断される場合 (特に心肥大・心不全・虚血性心疾患など器質的疾患に合併したAfでは抗不整脈薬が効きにくく、催不整脈作用…