心房粗動をみたら
メモ
【一般的な話】
・心房粗動(AFL)は心房細動(Af)と似ているところと違うところを抑える
・Af同様に、脳梗塞のリスクがあるため抗凝固薬で脳卒中予防を行う。
(心房粗動の方がリスクは少し低いが無視できない)
・Afと異なり心房粗動は自然停止しにくい不整脈。
・AFLの心拍数は心房が300回/分で興奮しているのが2:1あるいは4:1となりやすく心室に電気刺激が来る。よって房室伝導が4:1で心拍数が75回/分だったのがちょっとした運動負荷などによって2:1の伝導になり心拍数が150回と急激に上昇したりする。Afより心拍数コントロールは難しい。
・Afに比べると抗不整脈薬が効きにくい。AFLの停止効果は20%程度しかなく、運が良ければ抗不整脈薬で止まってくれるかもね、程度。
・しかもその抗不整脈薬を飲み続けてもまた再発するリスクもあるし、一生飲み続けたらその副作用なども馬鹿にならなくなってくる。
・また抗不整脈薬では心房粗動がかえって安定化して停止しにくくなることがある。
・よって内服で細かな治療はなかなか難しい。できるのは最悪の事態である1:1の房室伝導になってしまい心拍数300回/分という事態を防ぐこと。特に運動時などに多いので体を動かすとめまいがするなどの訴えがある患者は要注意。
・房室伝導を下げるのに奏功するのはβブロッカー!
・根本的な治療はカテーテルアブレーション。治療成績は非常に高く、内服治療で心房粗動のコントロールが出来ているときでも適応となる。
【急性期の治療はどうするか】
2:1の房室伝導(心拍数150回程度)で動悸感の強い患者をみたら、まずはレートコントロールを行う。
選択肢1:ワソラン®5mgをゆっくり静注。4:1伝導になったらそのまま経過観察。
1A投与しても改善なければもう1A追加で投与。4:1伝導になった時点で終了。
血圧下がることがあるので要注意。
選択肢2:ワソラン内服。状況が切迫していなければ内服でも構わない。ワソラン6錠分3などでもレートコントロールは十分期待できる。
選択肢3:βブロッカー。ワソラン同様に心室レートを下げることができる上に血圧はそこまで下がらない。
選択肢4:ジギタリス。ワソランやβブロッカーに比べると効果は乏しい。また血中濃度を定期的にチェック必要。
選択肢5:電気的除細動。心機能や血圧に問題があり薬物治療が難しい時はショックで洞調律に戻す。
禁忌:Ⅰc群の抗不整脈薬は避ける。使うとしてもⅠa群かⅠb群のアスベノンのみ。単剤は禁忌で使うとしてもβブロッカーかワソランと併用する。