つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

整形外科

肩関節脱臼へのアプローチ@救急外来

肩関節脱臼へのアプローチ+整復 肩関節脱臼の分類 ・前方脱臼:肩関節脱臼の95%がこれ。転倒による受傷だと前方脱臼となる。 ・後方脱臼;肩関節を90度挙上している状態で前方からの外力により後方脱臼となりうる。またてんかん発作が原因でも後方脱臼…

肘内障(橈骨頭の亜脱臼)への対応@救急外来

肘内障(橈骨頭の亜脱臼)への対応@救急外来 【肘内障とは】 典型的な肘内障では幼児が突然親に手を引っ張られるなどして痛みのために突然手を動かさなくなってしまう。機序としては前腕を回内し、肘を進展した状態で長軸方向に急激に引っ張る結果生じる。…

腰椎レントゲンの適応

救急外来受診で腰痛を訴える患者の中で緊急性のある腰痛は3%程度しかない。およそ70〜80%は急性腰椎症、所謂ぎっくり腰と言われており特に治療をしなくても1ヶ月以内に軽快する。 ルーチンで腰椎レントゲンを取ることはコストの点でも放射線被曝の点でも…

腰痛患者の危険な徴候リスト

主訴:腰痛患者の必須確認ポイント ●赤信号の腰痛疾患のゴロ『FACET』 F(Fracture)→骨折 ステロイド内服、担癌患者、骨粗鬆症ないか問診 A(Aorta)→腹部大動脈瘤、大動脈解離 高齢者、胸痛・背部痛、腹部拍動性腫瘤 C(Compression)→脊髄の圧迫(腰椎椎…

肩鎖関節脱臼への対応@救急外来

肩鎖関節脱臼への対応 肩鎖関節とは 肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨の間の関節のことで、この関節の安定性は肩鎖靱帯(肩峰と鎖骨の間)、烏口鎖骨靱帯(烏口突起と鎖骨の間)、三角筋・僧帽筋(鎖骨の外側につく筋肉)により保たれている。 画像参照:http://kotos…

完全骨折と不全骨折の違い

骨折は骨折線によって完全骨折と不全骨折に分類される。 完全骨折とは 骨の連続性が完全に失われた状態。粉砕骨折、横骨折、斜骨折、らせん骨折などがある。 横骨折の一例:骨の短軸方向に骨折が起こり連続性がなくなっている。 画像参照:http://blog45.nee…

鎖骨骨折への対応(+画像)

【鎖骨骨折の単純レントゲンの一例】 画像引用:http://healthil.jp/16204 【受傷機転】 典型的には肩から転倒、鎖骨の直接強打など 【身体所見で見るべきもの】 視診で変形、腫脹、擦過傷、斑状出血の有無 圧痛点の有無と部位 神経症状の確認(腕神経叢の損…

四肢の単純X線の読影ポイント(ABCSルール)

四肢の単純レントゲンの見方 ABCSに着目して読影する。 A:alignment(配列) 骨相互の位置関係を確認。そして1つの骨膜がきれいに揃っているか(連続性)見る。 B;bone(骨) 骨の中を見る。濃くなってないか、薄くなってないか。 C;Cartilage(軟骨) 軟骨…

捻挫・骨折疑い患者への対応

捻挫・骨折疑い患者への対応 【捻挫とは】 捻挫とは転倒やスポーツなどにより関節に強い外力が加わった外傷のうち骨折と脱臼を除いたものであり、軟骨や関節周囲の軟部組織の損傷である。なお、骨には異常がないのでレントゲン検査で異常を認めない。受傷時…

頸部捻挫(むちうち)へのアプローチ

頸部捻挫(むちうち)へのアプローチ 【受傷機転】 典型的には自動車の後部から衝突された時、頸が急激に伸展、屈曲することにより頸部痛が出現する。障害部位としては椎間関節、椎間板、椎間靭帯、頸筋、神経根などが傷害されうる。 https://jico-pro.com/c…

肩・上腕の外傷へのアプローチ(編集中)

・外傷全般的な話 受傷機転を必ず聞く(内科的疾患が隠れてないか) 四肢外傷であれば患側と健側を比較する 変形、疼痛、圧痛、叩打痛、腫脹の確認 (特に骨折部は軽く叩いても痛む) 感覚障害の有無を確認 運動障害の有無を確認 循環障害の確認 ・脱臼であ…

頸部外傷における頚椎レントゲンの適応(NEXUS)

頸部外傷の際に頚椎レントゲンを取るかどうかの指標NEXUSというものがある。 (NEXUS:national emergeny X-radiography utilization study) ■鈍的外傷患者において次の5つが揃えば頚椎レントゲンは必要ない (NEJM343:94-99,2000) ・意識障害なし ・神経学…

スカルパ三角の意義と語呂合わせ

スカルパ三角(大腿三角)とは鼠径靭帯、縫工筋、長内転筋の内縁で囲まれた大腿前面の三角形状のくぼみのこと。このくぼみの奥に大腿骨頭が位置しており、触診で正常な位置にあるかどうか判定することができる。股関節脱臼では大腿骨頭が変位しているので触…

AOプレート、ロッキングプレート、キュンチャー髄内釘の違い

骨折の観血的固定におけるプレート、キュンチャー髄内釘、ねじの違い ・AOプレート ねじとプレートを用いて折れた骨をつなげる方法(下のイラスト参照)。骨膜を剥いでその上からプレートをあて、スクリューで締めることでプレートと骨とを圧迫し固定できる…

アキレス腱断裂の診察:トンプソン法とは

アキレス腱断裂の診察:トンプソン法とは 【アキレス腱とは】 ・アキレス腱とは下腿三頭筋(ヒラメ筋+腓腹筋)の腱であり、下腿三頭筋に急激な収縮が生じた時に伸展されて断裂する。 ・患者の訴えとしては「バットでふくらはぎを強く打たれた」「ボンっと大…

脂肪塞栓症候群で点状出血となる理由

脂肪塞栓症候群とは 骨折の骨髄部から遊離脂肪酸が静脈内に流入して肺で脂肪塞栓を形成、更に一部は全身をめぐり諸臓器で塞栓を起こすことが原因。他にも外傷後に起こる脂質代謝の変化も要因の1つと考えられている。 脂肪塞栓症候群には鶴田の診断基準が用…

頸髄損傷でバイタル低下する理由

交感神経は胸髄、腰髄から発生しているのに対し、副交感神経は脳幹・腰髄から発生している。つまり頸髄損傷では交感神経はいずれも障害され、脳幹の副交感神経だけが生き残るために副交感神経優位となってしまうからである。 画像引用:http://ameblo.jp/j-w…

膝蓋跳動とは何か

イラスト出典:膝蓋骨骨折の症状・診断・治療 [骨・筋肉・関節の病気] All About 半月板損傷や十字靭帯損傷などでは関節で炎症が起こるために関節内に水のたまる関節水腫の状態になる。関節水腫を他覚的に確かめる方法としては、膝関節上部を手で圧迫しなが…

観血的固定法と非観血的固定法の違いと適応

骨折治療:観血的整復固定法と非観血的整復固定法の違い 骨折の治療は主に整復、固定、リハビリテーションに分けられる。整復や固定はその方法により非観血的方法と観血的方法に分けることができる。 ざっくり言えば観血的・非観血的という言葉は文字通り、 …

脊柱側弯症のrib hump(肋骨隆起)とは何か

脊柱側弯症とは前額面(患者を前から見た時)で脊柱が横に湾曲している状態である。 上記イラストは側弯症とパワープレートより引用 分類としては原因不明の特発性脊柱側弯症と続発性脊柱側弯症とがある。 ・特発性脊柱側弯症は最も頻度が高く、発症年齢によ…

腫骨骨折によるBohler角の減少とは何か

踵骨骨折とは高所からの転落などによって踵骨に外力が集中した時に生じる骨折である。踵骨は海綿骨なので潰れやすく、また腰椎圧迫骨折を伴うことが多い。 症状としては踵部の腫脹と皮下出血そして圧痛が認められる。また受傷直後から踵部への荷重が不能とな…

大腿骨頭壊死の帯状硬化像とは何か

大腿骨頭壊死とは無菌性・阻血性に大腿骨頭の壊死症である。原因としてアルコール、ステロイド、外傷、膠原病などが知られている。 好発部位は荷重部である大腿骨頭前上部。 X線上の特徴として壊死層の透過陰影とその周囲の帯状硬化がある。 病変部の組織は…

脊髄症状と神経根症状の違い

脊髄症状と神経根症状の違い 頸椎椎間板ヘルニアでは神経根や脊髄が押され、神経根症状や脊髄圧迫症状を呈する。 ヘルニアが後側方に発生した場合、神経根を圧迫して肩〜上肢の疼痛や放散痛、前腕や手指のしびれと知覚傷害などを引き起こす神経根症状を呈す…

クラッシュ症候群(挫滅症候群)とは

クラッシュ症候群(挫滅症候群)とは 地震のあとなどに倒壊した建物の下敷きになって腹部、骨盤、四肢んどが長時間圧迫された後に、その圧迫が解除された時に生じるショック状態のことをいう。 圧迫部より末梢に生じる循環障害によって、筋肉が広範囲に壊死…

閉鎖骨折と開放骨折の違い

閉鎖骨折とは… 皮膚に大きな損傷を認めず、骨が外界と交通していない骨折、つまり骨がむき出しになっていない骨折のこと。別名:単純骨折または皮下骨折 開放骨折とは… 皮膚創傷と骨折部が交通しているもの。骨がむき出しになっているものや、傷口にゾンデを…

直達牽引と介達牽引の違い

下肢の骨折などでは筋肉の短縮しようとする力が強いため、多くの場合で骨折部は短縮転位していて徒手で力いっぱい引っ張っても整復できない。そこで牽引という方法を用いる。徒手整復が一気に力を加えて転位を直すのに対して、牽引は持続的に引っ張ることに…

SLRテストとその方法

SLRとは日本語で言うならば下肢伸展挙上テストのこと。 膝関節伸展位のまま10~15cm程度挙上し、5~6秒間その位置を保持した後で下ろすという動作を繰り返す。この動作で坐骨神経根(L4〜S3)の圧迫があれば、坐骨神経痛が出現する。特にL4/L5やL5/S1のヘルニ…