AOプレート、ロッキングプレート、キュンチャー髄内釘の違い
骨折の観血的固定におけるプレート、キュンチャー髄内釘、ねじの違い
・AOプレート
ねじとプレートを用いて折れた骨をつなげる方法(下のイラスト参照)。骨膜を剥いでその上からプレートをあて、スクリューで締めることでプレートと骨とを圧迫し固定できる。
利点:非常に強固に結合させることができるので、固定性がイマイチの時に出来てしまう偽関節のリスクが低い(→偽関節になりやすい関節内骨折によい適応)。
欠点:
・結合力が強固のため、骨癒合が進むと少しのズレでねじが緩んでしまう。骨癒合後には再手術でプレートとねじを取り除く必要がある。
・骨膜をはぐことで骨膜からの血流が阻害され、また圧迫力によりプレート直下の骨は壊死する。
http://kobe-jiko.net/page-1900より引用
*ちなみに…
AO とはドイツ語の Arbeitsgemeinschaft fur Osteosynthes Fragen の略語であり、日本語に訳せば”骨接合術の学術団体”とのことらしい。
・ロッキングプレート
従来型のAOプレートと異なり、骨膜の上から当てることの出来るプレート。
プレートとねじがロックされるような仕組みになっていて角度安定性が高く、また一体になることで固定力が強くなる。
利点としてはねじの緩みにくく、また奥まで全力で締めなくても骨折部をしっかりと固定できる。また骨膜を剥ぐ必要がなく、骨に過剰な圧力がかからないので骨膜の血流が維持できる。
ロッキングプレートの適応:上腕骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折など、骨粗しょう症などで骨の脆弱性のある部位の骨折に良い適応である。
・Kuntscher(キュンチャー)髄内釘
骨髄内に太い金属を通すことで非常に強い固定性を得る方法。
骨折部を開けずに別の部位から(下図では上から)釘を挿入するので骨膜を剥離しなくてすみ、骨癒合が早く進んでくれる。よって髄内釘での固定では早期離床も可能である。ただ、欠点として回旋転位しやすいので横方向からねじを挿入し、髄内釘を固定する必要がある(右図)。また骨髄内に金属を挿入すうるため骨髄内の脂肪組織が血中に漏れでて脂肪塞栓を起こしてしまうリスクも有る。
引用元)脛骨骨幹部骨折|整形外科の救急看護|ナースフル疾患別シリーズ
・ねじ
AOプレートでもねじは用いられたが、プレートなしでねじ単独で固定を行うこともある。
例)
CCHS固定(大腿骨頚部骨折)