つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

消化器

内視鏡検査で抗コリン薬やグルカゴンを用いる理由

内視鏡検査で抗コリン薬やグルカゴンを付加する理由 内視鏡検査は前日の夕食以降は絶飲食をしなければならない。内視鏡で腸の中を観察したいのに食べ物のかすがあったりしたら見にくい為である。また、検査の際に抗コリン薬も用いる。抗コリン薬とはアセチル…

真性憩室と仮性憩室の違い・覚え方

真性憩室と仮性憩室の違い 真性憩室とは粘膜、筋層、しょう膜の全てが突出する。仮性憩室とは筋層が欠損して、粘膜としょう膜が突出する。 好発部位 真性憩室:ロキタンスキー憩室(食道の気管分岐部)、メッケル憩室(回腸憩室)、胃憩室 仮性憩室:Zenker…

出血性ショックにノルアドレナリン禁忌の理由

出血性ショックにノルアドレナリン禁忌の理由 食道静脈瘤が破裂するなどして出血性ショックとなった場合、治療の原則は輸液、輸血である。ノルアドレナリンは血管収縮性が強いので一見理にかなっていそうであるが、ショックで血の巡りが悪いのにさらに末梢組…

脂肪便の原因と機序

脂肪便の原因と機序 □脂肪代謝について 食事中から摂取された脂肪は十二指腸で胆汁酸、膵リパーゼの作用により分解され、小腸から吸収される。しかし、糞便中に中性脂肪、遊離脂肪酸、脂肪酸塩などが検出されることがあり、この状態を臨床医学的に「脂肪便」…

食道静脈瘤破裂にモルヒネ禁忌の理由(メモ

食道静脈瘤破裂にモルヒネ禁忌の理由(メモ 食道静脈瘤とは肝硬変などが原因で門脈圧が亢進し、側副血行路が形成され、食道や胃粘膜下層の静脈が拡張・怒張した状態である。破裂すると吐血に加えてショック状態となる。鎮静薬としてモルヒネの投与をしそうで…

虚血性大腸炎が左側結腸に好発する理由

虚血性大腸炎が左側結腸に好発する理由 虚血性大腸炎とは大腸の血流障害に伴い、大腸粘膜に原曲性の虚血性変化をきたす疾患である。動脈硬化や便秘が誘因と考えられており、高齢者の突然の左下腹部痛とそれに続く下痢や下血が典型的な症状である。 好発部位…

胃全摘後に胆石症をきたしやすい理由

胃全摘後に胆石症をきたしやすい理由 胃全摘後は胆石症をきたしやすいと言われている。胃全摘の際に胃と併走する迷走神経が切離されるため、胆嚢収縮能力が低下し、胆汁組成の変化や胆汁鬱帯傾向が生じて胆石症となると考えられている。また、胃が無くなると…

虚血性大腸炎の母指圧痕像とは何か

虚血性大腸炎の母指圧痕像とは何か 虚血性大腸炎とは: 動脈硬化や糖尿病などを素因として腸間膜動脈の狭窄・閉塞が起こり、大腸粘膜の限局性の虚血性変化を起こす疾患である。便秘なども誘因として重要で、症状としては突然の腹痛、下血などを呈する。 注腸…

回盲部切除後の患者で下痢が起こりやすいのはなぜか

回盲部切除後の患者で下痢が起こりやすいのはなぜか 急性虫垂炎などの手術で回盲部切除を行うと、回腸で胆汁酸が再吸収されなくなり下痢を頻発することが知られている。胆汁酸は腸肝循環で再吸収されずに大腸にいくと微生物による変換を受け脱水素胆汁酸(二…

下血の原因と鑑別

下血の鑑別診断について簡単にまとめてみた。 主に考えられる疾患… ・大腸癌中高年に多く、無痛性の下血がみられたらまず疑う。下痢や便秘などの便通異常を伴うことも多い。左側結腸ではイレウス症状がでやすい。 ・虚血性腸炎高血圧や動脈硬化を背景として…

ESDとEMRの違い

EMRとESDの違い EMRとはendoscopic mucosal ressectionの略で日本語で言うなら内視鏡的粘膜切除術。手順としては病変が膨隆するように液体を病変の下に注入する。そしてスネアで病変をの下側の粘膜を縛る。つまり病変部が膨隆してなくても施行することができ…

胆石症で夜間や食後に痛みが起こる理由

胆石症で夜間や食後に痛みが起こる理由 食後に痛みが起こるメカニズムは・・・食後、特に脂っこい食事になりやすい夕食後はコレシストキニンの分泌が亢進し、胆嚢の収縮が強くなるから。コレシストキニンとは十二指腸下行部に食物(特に脂肪)が入ると分泌さ…

アルコール性肝障害が肝小葉中心性に生じる理由

アルコール性肝障害が肝小葉中心性に生じる理由 アルコールによる肝臓の障害は小葉を中心に生じるがそれには以下の理由が考えられている。 webサイト肝臓の働き・肝臓の病気より引用 アルコール代謝酵素が中心静脈周辺の肝細胞に多く含まれているのでこの部…

アルコール性肝障害の発生機序

アルコール性肝障害の発生機序 アルコールの飲み過ぎるとなぜ肝臓はダメージをうけるのか。 アルコール性肝障害には、初期病変であるアルコール性脂肪肝を始め、進行した病型であるアルコール性肝炎、アルコール性繊維称、そして終末像であるアルコ−ル性肝硬…

アルコール性肝炎の治療でビタミンB1を使う理由

アルコール性肝炎の治療でビタミンB1を使う理由 アルコール大量飲酒時にはビタミンB1は欠乏に陥りやすい。ビタミンB1不足ではウェルニッケ脳症などを発症するリスクがあるので栄養療法としてビタミンB1が用いられる。 ではなぜアルコールを大量接種…

dubin johnson症候群で黒色肝を呈する理由

dubin johnson症候群で黒色肝を呈する理由 dubin johnson症候群とは…極めてまれな疾患であり、軽度の直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症を特徴とする。血清ビリルビン高値以外は検査値に異常値を示さない。身体所見も黄疸以外は正常であるが、時に肝脾腫…

セロコンバージョンとは

セロコンバージョン(seroconversion)について ある抗原が陰性化し、抗体が陽性化すること。特にHBe抗原が陰性化し、HBe抗体が陽性化することを指す。一過性肝炎を伴い、セロコンバージョン後にはHBV量が低下し、感染性も低下、肝病変の改善をみる。HBe抗体…

PBCとPSCの違い

PBCとPSCが紛らわしいので整理。 PBC=primary biliary cirrhosis=原発性胆汁性肝硬変 PSC=primary sclerosing cholangitis=原発性硬化性胆管炎 PBCは肝硬変。PSCは胆管の炎症。 PBCは慢性の肝内胆汁うっ滞をきたす疾患。肝内胆管における慢性非化膿性破壊性…

ERCPとMRCPの違い

ECRPとは内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)の略。 MRCPとは核磁気共鳴胆管膵管撮影(magnetic resonance cholangiopancreatography)の略である。 ERCPとは内視鏡を用いてファーター乳頭からカニューレを入れて…

偽膜性大腸炎とは

偽膜性大腸炎とは… 抗菌薬によって菌交代現象が引き起こされ、嫌気性菌であるクロストリジウム・ディフィシル(CD)が大量に増殖し、産生される毒素(CD毒素)により大腸の粘膜が侵される疾患。 高齢者や重篤な基礎疾患を有するものに好発し、抗菌薬投与後数…

筋性防御、板状硬、反跳痛の違いとそれぞれの有用性

虫垂炎や胆嚢炎などの炎症が腹膜に波及すると腹膜刺激症状という特有の症状が現れる。腹膜刺激症状の検査法は様々あり、ここでは筋性防御、板状硬、打診痛、咳嗽試験、反跳痛などなどをご紹介 筋性防御 腹壁を押し下げ痛みが出現するときに起こる腹筋の意識…

胃潰瘍は食後、十二指腸潰瘍は食前に痛くなる理由

胃潰瘍は食後、十二指腸潰瘍は食前に痛くなるのは何故か ■胃・十二指腸潰瘍とは… 胃・十二指腸粘膜に生じ、粘膜筋板をこえて深く組織が欠損した状態である。それよりも浅い病変はビランという。心窩部痛、腹部膨満感、悪心、嘔吐、胸焼けなどの症状のほか、…

後腹膜臓器と腹腔内臓器の違い、覚え方

腹部は腹膜という膜に裏打ちされた「腹腔」という空間と、腹膜の外側である「後腹膜」に分けられる。腹腔内には消化器のほとんどの臓器があり、後腹膜には腎臓や膵臓、副腎などがある。 腹腔において、壁側腹膜より体表側の領域を腹膜外隙といい、特に後腹壁…