つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

消化器

pivkaⅡ上昇の原因と偽陽性について

pivkaⅡとはprotein induced by vitamine K absence or antagonist-Ⅱの略である。日本語で言えばビタミンK欠乏状態で誘導されるタンパク質ということになる。臨床的にはPIVKA2が陽性であれば肝臓がんが疑われる。肝細胞癌の腫瘍マーカーとして他にはAFPやAFP-…

陰イオン交換樹脂で高コレステロール血症の治療が出来る理由

陰イオン交換樹脂の作用機序 ■まず腸肝循環について ファーター乳頭から分泌される胆汁に含まれる胆汁酸はコレステロールから作られている。材料となるコレステロールも無限にあるというわけではないので一度腸管内に分泌された胆汁酸も再び再吸収されて肝臓…

下血と血便の違い

まず吐血と下血の違い 消化管での出血は口か肛門のどちらかの出口から排出されることになるが、胃より口側の出血は口から出るので【吐血】となり十二指腸よりも肛門側での出血の場合は肛門から出るので【下血】と分類されている。 下血と血便の区別 下血の性…

鎖肛の分類〜PC線、I線、M線について

鎖肛とは発生段階に異常が生じ、肛門や直腸が閉鎖してしまう先天性疾患である。 鎖肛は排便の機能を持つ恥骨直腸筋と直腸の盲端の位置関係により3つのタイプに分けられる。 低位型:直腸の盲端が恥骨直腸筋の下にあるタイプ (直腸盲端がI lineよりも肛門側…

高位前方切除術と低位前方切除術の違い

直腸は部位によってRs,Ra,Rbに分けられている。 Rs:岬角〜第2仙椎下縁までの範囲。直腸S状部のこと。腸間膜がある領域であるので厳密にはS状結腸に含まれるはずであるが、日本では直腸の一部として扱われている。 Ra:第二仙椎下縁〜腹膜反転部までの範囲…

肝不全でフィッシャー比が低下する理由

劇症肝炎あるいは肝硬変などの慢性肝疾患によって肝臓の機能が低下し、肝不全の状態になるとアミノ酸の分解が正常に行えなくなる。 アミノ酸には 芳香族アミノ酸(トリプトファン、フェニルアラニン、チロシンなど)と 分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イ…

劇症肝炎でPT延長する理由

劇症肝炎とは肝臓が急激に機能低下を生じて、発症から8週間以内に肝性昏睡度二度以上の肝性脳症をきたし、更にプロトロンビン時間40%以下を示すものと定義される。 原因はB型肝炎ウィルスによるものが多い。 症状としては発熱、黄疸、浮腫などに加えて強…

肝性脳症でラクツロースを用いる理由

肝性脳症とは高度の肝臓障害により意識障害、羽ばたき振戦などを始めとした様々な精神症状をきたす症候群である。劇症肝炎や肝硬変が主な原因。 【肝性脳症の病態】 肝機能が正常であれば、腸管から吸収された毒素を解毒することができるが、肝機能が低下し…

胃静脈瘤にBRTOが用いられるのはなぜか

BRTOとはballoon occluded retrograde transvenous obliteration(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術)のことである。 食道静脈瘤に対しては内視鏡的硬化療法が有効であるが、胃静脈瘤に対しては中々効果が上がらなかった。そこで開発されたのがBRTOという胃静…

腸重積におけるターゲットサインとは何か

■腸重積について復習 腸重積とは口側の腸管が肛門側の腸管に入り込んで嵌頓する病態であり、内腔を閉塞して腸管の血行障害を引き起こしてしまう。生後4,5ヶ月〜1歳ほどの小児に好発する。 症状としては腹痛・嘔吐・血便が代表的。 腹痛は非常に強く、激しく…

肝硬変で低ナトリウムになる機序

肝硬変で低ナトリウムになる機序 肝硬変ではアルブミンの産生能が低下することにより膠質浸透圧が低下し、水が間質に移動する。それにより血管内が脱水状態となり、代償的に水を血管内に増やそうとする機構が働く。 一つはアルドステロンによる遠位尿細管か…

逆流性食道炎に抗コリン薬禁忌の理由

逆流性食道炎に抗コリン薬禁忌の理由 胃食道逆流症とは酸性である胃の内容物が食道に逆流することで食道を傷つけてしまう疾患である。治療法としては胃酸の分泌を抑える薬剤であるプロトンポンプインヒビターやヒスタミンH2受容体拮抗薬などが用いられる。抗…

食道癌にルゴール染色で白くなる機序

食道ガンに対するルゴール染色で白くなる理由 ルゴール溶液とはヨウ素、ヨウ化カリウム、グリセリンなどからなる溶液である。この液体は食道ガンの検査で用いられる。 ヨウ素でんぷん反応というのはでんぷんとルゴール(ヨウ素)が反応することによって呈色…

ピロリ菌除菌が逆流性食道炎の増悪因子となる理由

ピロリ菌除菌が逆流性食道炎の増悪因子となる理由 胃食道逆流症(GERD)とは酸性の胃内容物が食道方向に逆流することにより食道を傷つけてしまう疾患。ただし食道の下には下部食道括約筋があるので胃の内容物は通常逆流しないようになっている。 逆流性食道炎…

zollinger Ellison症候群で水様便になる機序

zollinger Ellison症候群で水様便になる機序 Zollinger Ellison症候群とは膵臓にできる内分泌腫瘍であり、ガストリンを腫瘍性に産生する疾患である(=ガストリノーマ)。ガストリンは本来胃や十二指腸にあるG細胞から分泌されるが、胎生期には膵臓からも分…

胃切除後合併症で嘔吐が生じる理由

胃切除後合併症で嘔吐が生じる理由 胃を摘出した後にビルロート2法で再建を行うと輸入脚症候群という合併症が起こる。 輸入脚とは十二指腸から胃に至る経路のこと。胃から空腸への経路は輸出脚と呼ばれる。 輸入脚は捻れているために、そこにファーター乳頭…

経腸栄養と経静脈栄養の違い

経腸栄養と経静脈栄養の違いについて簡単にまとめ 経腸栄養も経静脈栄養もいずれも患者自身が自分で物を食べられないときに(術後、嚥下障害など)実施する栄養管理方法である。 基本的に腸管が少しでも機能しているのなら経腸栄養をする。経腸栄養では栄養…

上腸間膜動脈症候群で前屈位で症状が軽減する理由

上腸間膜動脈症候群で前屈位で症状が軽減する理由 上腸間膜動脈症候群とは上腸間膜動脈と大動脈の間に十二指腸が挟まれてしまい通過障害をきたす疾患である。ダイエット後など、やせた女性に好発し、吐き気や腹部膨満感、腹痛などの症状を呈する。 前屈位や…

水様便(水溶性下痢)の原因

水様便(水溶性下痢)の原因・機序 便が水様性になってしまうのには様々な原因がある。 原因ごとに説明します。 1、大腸の炎症(感染症)黄色ブドウ球菌やコレラなどの毒素型の感染症により水様便を呈する。(侵襲性のあるサルモネラ・カンピロバクターなど…

日本で大腸憩室が増えている理由

日本で大腸憩室が増えている理由 憩室の原因としては腸管内圧の上昇が第一の要因である。食生活の欧米化で肉食の増加、また野菜などの食物繊維摂取量の減少により便秘が起こりやすくなりそれにより大腸の腸管内圧が上昇し、大腸壁の抵抗性の弱い部分から粘膜…

カルチノイド症候群で喘息、下痢、皮膚の紅潮が起こる機序

カルチノイド症候群で喘息、下痢、皮膚の紅潮が起こる機序 カルチノイド症候群とは粘膜下腫瘍の一つで、Kulschitsky細胞が原因でセロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジンなどを分泌することにより様々な症状がでる。 セロトニンは平滑筋を…

便秘が虚血性大腸炎の誘因となる理由

便秘が虚血性大腸炎の誘因となる理由 虚血性大腸炎とは動脈硬化のある高齢者に好発する疾患であり、腸に血液が十分行かなくなることにより発症する。多くは粘膜から粘膜下層までの可逆的な障害にとどまり、保存的な治療で治癒することが多い。ちなみに大腸の…

単純性イレウスに下剤禁忌の理由

単純性イレウスに下剤禁忌の理由 単純性(閉塞性)イレウスとは機械的イレウスの一つであり、血行障害を伴わない(血行障害を伴うイレウスを複雑性イレウスという)。原因としては手術後の癒着性のものが多い。一般的に治療といえば絶飲食、抗菌薬、輸液、さ…

先天性胆道閉鎖症で頭蓋内出血しやすい理由

先天性胆道閉鎖症で頭蓋内出血しやすい理由 先天性胆道閉鎖症とはウィルス感染などによりいったん形成された胆道が再び閉塞してしまう疾患。主な症状としては胆汁の鬱帯による黄疸。直接ビリルビンが流れてこないのでウロビリノーゲンが低下して白色便にもな…

食道静脈瘤破裂に対してバソプレシンの静脈内投与をする理由

食道静脈瘤破裂に対してバソプレシンの静脈内投与をする理由 食道静脈瘤から出血がありショックの時はまず循環器系、呼吸器系の安定をはかる。落ち着いたらバソプレシンの静脈内投与を行い門脈圧の減圧を図る。バソプレシンは腎臓の集合管のV2受容体に結合し…

急性膵炎で低カルシウム血症になる理由

急性膵炎で低カルシウム血症になる理由 急性膵炎とは膵臓内で活性化された膵酵素が膵臓や隣接する臓器を消化してしまう炎症性疾患である。原因としては男性はアルコール、女性は胆石が代表的。膵臓の腺房細胞が傷害され、トリプシンなどの消化酵素が連鎖的に…

急性膵炎でcolon cut-off sign、sentinel loop signが見られる機序

急性膵炎でcolon cut-off sign、sentinel loop signが見られる機序 急性膵炎では膵臓に隣接する横行結腸を狭窄させて限局性の麻痺性イレウスを引き起こしうる。膵臓に近い横行結腸の右半分が攣縮を起こしてしまうので、横行結腸の右半分にガスがたまって見え…

急性膵炎で低酸素血症になる機序

急性膵炎でPaO2低下する理由 急性膵炎では低酸素血症、つまり動脈血酸素分圧(PaO2)が低値になることが知られている。 急性膵炎は膵臓の消化酵素が膵臓や隣接する臓器を自己消化してしまう疾患であるが、この際に誘導されたサイトカインが毛細血管透過性を…

メッケル憩室で大量下血が起こる理由

メッケル憩室で大量下血が起こる理由 メッケル憩室とは回盲部より数十センチ口側にできる先天性の真性憩室であり、約20%の頻度で胃粘膜の迷入を認めることがある。その場合は憩室の内腔は異所性の胃粘膜で覆われるということになる。 異所性の胃粘膜もふ…

しぶり腹とその原因について(メモ

しぶり腹(裏急後重)とその原因について しぶりばらとは頻回に腹痛と便意を催すものの、排便しても少量しかでない状態のことをいう。テネスムスともいう。原因となる疾患としては潰瘍性大腸炎、アメーバ赤痢、偽膜性大腸炎、大腸ガンなど。いずれにしても下…