つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

感染症

プロカルシトニンはいつ測るべきか

◯プロカルシトニンとは プロカルシトニンとは血中カルシウムを低下させる働きのあるカルシトニンの前駆物質である。プロカルシトニンは通常であれば甲状腺で産生されるが、細菌、真菌などの感染症になると炎症性サイトカイン(IL1β、TNFα)の刺激により、甲…

細菌性髄膜炎の原因菌の覚え方・ゴロ合わせ

細菌性髄膜炎(急性化膿性髄膜炎)とは 細菌によって引き起こされる髄膜炎であり、急激に発症し、適切に治療しなければ死に至ることもある。 症状としては発熱、嘔吐、意識障害などを呈し、髄液検査では好中球上昇、タンパク上昇、糖低下などの所見となる。 …

A群βとB群β溶連菌の違い

A群βとB群β溶連菌の違い 紛らわしいので整理。 写真出典:東京都感染症情報センター 連鎖球菌感染症はその溶血性や型によっていくつかのタイプに分類される。 ■溶血性の分類について α溶血(不完全溶血):溶血部の周囲が緑色になるβ溶血(完全溶血):溶血…

偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌の違いと覚え方

偏性嫌気性菌と通性嫌気性菌の違いと覚え方 嫌気性菌は文字通り、空気を嫌っている細菌であるが偏性と通性の2種類の細菌に分けることができる。偏性嫌気性菌は酸素が嫌いどころか、酸素があると死んでしまうタイプの嫌気性菌である。これは細胞内で酸化還元…

生ワクチンと不活化ワクチンの違いとゴロ合わせ

生ワクチンと不活化ワクチンの違い 多くの場合、人間は同じ感染症に二度かからないと言われているが、外部から同じ病原菌が体内に侵入した場合、初回感染に比べて病原体に特異的な免疫グロブリンというタンパク質が迅速に、そして大量に合成されるからと説明…

比較的徐脈とその原因

比較的徐脈とその原因 比較的徐脈とは発熱の程度の割に脈拍の上昇がみられないことを言う。通常は1度の体温上昇につき脈拍は8〜10上昇する。 比較的徐脈をきたす疾患の覚え方・ゴロ友人に教えてもらったのを紹介。 比較的オレのサル ブルーチーズが好き …

稽留熱、弛張熱、間欠熱、回帰熱の違いと原因

稽留熱、弛張熱、間欠熱の違いと原因 「看護学生のために」さんより画像引用 http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-05-17 稽留熱:この熱型では発熱がほぼ変動しない。 定義としては37度以上の熱でなおかつ日内変動が0.3度以下のもの。原因とし…

3類感染症とその覚え方

3類感染症とその覚え方 3類感染症とは1類や2類に比べたら危険性はそれほど強くはないが、経口感染によって集団感染しうる感染症のこと。 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスの5疾患がある。 Dr.Kに載っていたゴロを紹介…

2類感染症とその覚え方

2類感染症とその覚え方 2類感染症とは重症度の観点で1類の次に危険な感染症。以下の5つがある。 ポリオ(急性灰白髄炎)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザ(H5N1) 1類感染症が原則入院なのに対し、2類感染症は全身状…

1類感染症とその覚え方

1類感染症とその覚え方 1類感染症にはエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、天然痘(痘そう)、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱などがある。 感染力が高い上に致死的で非常に危険な感染症であり原則入院が必要。いずれも日本には常在しない…

好中球核の左方移動とは

好中球核の左方移動のメカニズム 好中球の核はその成熟度によって様々な形態をとりうる。たとえばコンボウのような形の悍状核や葉っぱが分かれたような分葉核など様々であり、成熟すればするほど、核の分葉化は進む。 細菌感染症などにかかると、体内では好…

中和抗体と感染抗体の違い

中和抗体と感染抗体の違い 中和抗体とは 多くの細菌は、宿主細胞を損傷したりその機能を傷害する毒素を分泌する事によって病気を引き起こす。毒素は宿主の標的細胞の表面にある受容体に結合することによって初めて効果を発揮する。毒素が受容体に結合できな…

受動免疫と能動免疫の違い

受動免疫と能動免疫の違い 受動免疫とは 何か感染症にかかったり毒素が体内に入った場合の防御法として、それに対応した抗体を外から注入して中和する方法を受動免疫という。抗生物質が世に出るまでの間は破傷風毒素やジフテリア毒素に対して抗体を予防的な…

水平感染と垂直感染の違い

どこから病原体が入ってくるのかという観点で感染経路を水平感染と垂直感染の2タイプに分けることができる。 ■水平感染とは感染源から周囲に感染が伝わるタイプのもので次の4種類が代表的。 1,接触感染(狂犬病、性病など) 2,飛沫感染(インフルエン…

飛沫感染と空気感染の違い

■飛沫感染とは 文字通り飛沫による感染。飛沫とは”飛び散るしぶき”という意味があるが医学的には『水分を含んだ直径5マイクロメートル以上の粒子』と定義されている。 この飛沫感染は咳やくしゃみ、そして普段の日常的な会話によっても感染が成立してしまう…

抗真菌薬の作用機序

真菌の3つの細胞構成成分に作用する。 真菌は哺乳動物細胞には存在しない細胞膜ステロールのエルゴステロールを合成する。アゾールは真菌細胞の小胞体でエルゴステロールの合成を阻害する。アムホテリシンBのようなポリエンは細胞膜のエルゴステロールに結…

BCGとツベルクリンについて

BCGとはウシ型結核菌を弱毒化した細菌、およびそれを利用した結核に対するワクチンのこと。BCGの名前の由来はパスツール研究所の研究者の名前である=Bacille Calmette-Guerin(カルメットとゲランの菌) 従来行われていたツベルクリン反応検査はBCGワクチン…

結核菌と非結核性抗酸菌の違い

結核菌とらい菌を除く抗酸菌を非結核性抗酸菌と呼ぶ(=NTM)NTMは環境中に広く存在し、健常人からも検出される菌である。逆に言うと、免疫力が低下した場合に日和見感染症の原因となりうる。 ■結核菌と非結核性抗酸菌(NTM)の違い 毒性:結核菌は強い、NTM…

殺菌作用と静菌作用の違い

抗菌薬は菌を死滅させる作用、つまり殺菌作用をもつ殺菌性抗菌薬と、死滅させずに増殖や発育を抑制する静菌作用をもつ静菌静抗菌薬に分けられる。 一般に、殺菌性といわれる抗菌薬にはペニシリン、セファロスポリン、網のグリコシド、バンコマイシン、ニュー…

MRSAの耐性メカニズム

抗菌薬の多用によって黄色ブドウ球菌の多剤耐性が大きな問題となっている。 そもそもは黄色ブドウ球菌に対してペニシリンGが有効であった。 しかし、後にペニシリナーゼというペニシリンGのベータラクタム環を切断する酵素を獲得する。その後、メチシリンと…

ニューキノロンとオールドキノロンの違い

■ニューキノロンとオールドキノロンとは 細菌がDNAを複製・転写するときに必要な酵素であるDNAジャイレースを阻害する。いわゆる核酸合成阻害薬。広域スペクトラムであり非定型細菌にも有効。 (*DNAジャイレースとはDNAの超らせん構造を調節する際に働く酵…

ミカファンギンナトリウムの作用機序

ミカファンギンナトリウム(商品名:ファンガード)の作用機序 ミカファンギンナトリウムは,リポペプチド系抗真菌物質のキャンディン系抗真菌薬である。ミカファンギンは,真菌細胞壁の主要構成成分である1,3-β-glucanの生合成を非競合的に阻害し,深在性真…

クロラムフェニコールの作用機序

クロラムフェニコールは クロラムフェニコールは原核生物である細菌の 50S リボソームに結合する。リボソーム上でのペプチド鎖移動を司るペプチジルトランスフェラーゼを阻害し、タンパク質合成を妨害することにより細菌の増殖を止める。一方、真核生物本体…

β-D-グルカン上昇の意味するもの

β-D-グルカンは真菌の細胞壁の主な構成成分である。 多くの深在性真菌症では血中のβ-D-グルカンが上昇するので真菌症を疑う場合のスクリーニングには非常に有用。ただし、真菌の属に特異的ではないので、どの真菌かはわからない。更に、食道カンジダ症のよう…

グラム陽性菌と陰性菌の違い・覚え方・ゴロ

グラム陽性菌・陰性菌とは何か 一般的に細菌はグラム染色によってグラム陽性菌と陰性菌に分けられます。 グラム染色の原理: 固定した全ての細菌をクリスタル紫で染色したあと、ヨード処理をしてアルコール脱色を行います。ここで脱色されないものがグラム陽…

何故エタノールは細菌を殺菌できる?

なぜアルコールは細菌を殺菌できるのでしょうか?その機序はいかに。 エタノールはなぜ細菌を消毒できる?どのようなメカニズム? 複数の理由があります。列挙するならば、1、細胞膜の脂質を溶かし出す。 2、タンパク質の変性。タンパク質の構造を変化させて…