ニューキノロンとオールドキノロンの違い
■ニューキノロンとオールドキノロンとは
細菌がDNAを複製・転写するときに必要な酵素であるDNAジャイレースを阻害する。いわゆる核酸合成阻害薬。広域スペクトラムであり非定型細菌にも有効。
(*DNAジャイレースとはDNAの超らせん構造を調節する際に働く酵素であるトポイソメラーゼはDNA複製に必須であるが、特に細菌のもつトポイソメラーゼをDNAジャイレースという)
ニューキノロン系抗菌薬は、第一世代キノロンであるナリジクス酸などをフッ素化して改良・開発されたもので、フルオロキノロン系とも呼ばれる(フルオロ=フッ素)。逆に、フッ素を含まないものをオールドキノロンと呼ぶ。
■そもそもキノロンとは何か
キノロンは、キノリン骨格の1ヶ所をカルボニル基で置き換えた構造を持つ化合物の総称である。 キノロン系抗菌剤は、前述のようにDNAジャイレースの働きを阻害することによって細菌の増殖を妨げる。 ナリジクス酸は、第I世代のキノロンであり、ここに様々な置換基を付与することによって、様々な抗菌スペクトルを持った化合物が生み出された。第I世代キノロン系薬剤にはシノキサシンなどがあるが、いずれも、適応症はほぼ尿路や腸管の感染症に限定される。 ロメフロキサシン、シプロフロキサシンなど第II世代以降のキノロン系薬剤はフッ素が付加されていてニューキノロンと称される。
■歴史的な
初期のフルオロキノロンおよびシプロフロキサシンの弱点としては
1:肺炎球菌に対する効力が弱い
2:半減期が短い、体内動態に問題がある
3:オフロキサシンの不眠など中枢神経の副作用がある
4:痙攣の誘発などの薬剤相互作用など
これらのデメリットの克服として
肺炎球菌への活性の強化→スパルフロキサシン、モキシフロキサシン
持続性の改善→スパルフロキサシン
中枢神経系の副作用の改善→レボフロキサシン・パズフロキサシン
などが登場している。