つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

MRSA感染症をいつ疑うか

MRSAとはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のこと。

通常の黄色ブドウ球菌と異なり多くのペニシリン系やセフェム系抗生物質に耐性を示す。MRSAは常在細菌であり医師や看護師などの医療従事者の2〜3割は保菌していると言われる。MRSA自体の病原性は決して高くはないが、多くの抗菌薬が効かない上に、免疫力の低下した患者においては重篤化しうるので臨床的に非常に重要な菌である。

 

が、常にMRSAをカバーするように抗菌薬選択するわけにもいかない。感染症999の謎によると次のような場合にMRSAや多剤耐性緑膿菌などを考慮する必要があると説明されている。

・90日以内の抗菌薬投与もしくは2日以上の入院歴

・5日以上の入院期間

・地域での効率な薬剤耐性

・長期療養施設への滞在

・30日以内の透析

・免疫抑制剤の使用

・在宅での創傷ケア・静注役投与

既往歴のない若年者などでは最初から考慮することはないが、施設入所中の高齢者などではMRSAは常にあると思っておいたほうが良いかもしれない。特に敗血症性ショックのように抗菌薬を外せない状況では広域抗菌薬に加えてバンコマイシンなどでMRSAをカバーしたほうが無難である。