急性腎梗塞の診断にDダイマーは有用か?
急性腎梗塞(ARI)の有病率は0.007%-1.4%との報告がありまれな疾患であるが、救急外来に時々きうる致死的な疾患でもある。側腹部痛で受診されることが多いが、混雑している救急外来では尿路結石と誤診されてしまうことも少なくない。
従来の報告では急性腎梗塞の診断には、乳酸値の上昇、CRPの上昇、WBC上昇そして尿検査で血尿が重要であるとされてきた。しかし、Dダイマーの上昇も急性腎梗塞の診断に有用ではないかというケースレポート(2例)
Dダイマーは深部静脈血栓症や大動脈解離、腸間膜血栓などの診断に度々使われている。Dダイマーが陰性であれば急性腎梗塞を除外できる1つのヒントになるかもしれない。
血尿も大事な所見ではあるが、血尿陽性であれば尿路結石を想起されてしまうことが多く、腎梗塞の診断には有用とは言えない。また、かなり大きな腎結石であってもLDH正常であるという複数の報告もあり急性腎梗塞に対して感度の高いマーカーとしてはDダイマーも考慮されるべきである。いかにも尿路結石らしいプレゼンテーションで来院されても、致死的な腎梗塞は頭の片隅に入れるべきである。
造影CTの2例。左腎動脈の血流途絶あり
文献)