一過性全健忘症とは何か
一過性全健忘(transient global amnesia:TGA)とは突然なんの前触れもなく、新たな記憶ができなくなる前向性健忘と近時記憶の逆行性健忘とで発症する。
(*前向性健忘とは発症後に起きたことを覚えられない、逆行性健忘は発症前の記憶を思い出せない)
一見、意識清明で正常な行動が出来るが、記憶が失われているために周囲の状況が理解できずに不安が強い。通常24時間以内に自然に軽快して予後良好。
診断基準(Hodges et al. 1990)
・発作中の情報が目撃者から得られる(患者は自分の置かれている環境がわからなくなるため、周囲の人に場所や時間などを質問している)
・発作中、明らかな前向健忘が存在する
・意識障害はなく、高次脳機能障害は健忘に限られる
・発作中、神経学的局所徴候はない
・てんかんの徴候がない
・発作は24時間以内に消失する。
・最近の頭部外傷や活動性のてんかんのある患者は除外する。
一過性全健忘症の原因
・側頭葉てんかん
・片頭痛の血管攣縮
・静脈性の一過性虚血
などが原因になりうると指摘されているが未だ正確なことはわかっていない。また、脳血管障害でも一過性全健忘症を呈すると言われており、もともと一側の海馬に脳梗塞が有り、さらに反対側の海馬で一過性脳虚血が起こると一過性全健忘となる。
検査
発症24〜72時間後にMRI拡散強調画像で海馬に更新号病変が出現することがある。が、病変は非常に小さく冠状断と矢状断のthin sliceが必要。もちろん発症間もなく受診した場合はMRIでは検出できない。他疾患除外目的に脳波、採血、頭部CT・MRIはルーチンで行うべきと考えられる。
また追記します。