低酸素症と低酸素血症の違い
低酸素血症と低酸素症は似た言葉であるが異なる概念である。
低酸素血症とは文字通り、血液中の酸素が不足した状態。
血液に酸素が行かないということはつまり、ガス交換する場所である肺に問題がある。
具体的には肺の拡散障害、シャント、換気血流比付近等分布、肺胞低換気などがありうる。
一方低酸素症とは末梢組織に酸素が十分でない状態。
低酸素血症も低酸素症の原因になりうるが、その他にも以下のような原因がある。
・貧血:ヘモグロビンがO2と結合して全身に酸素を運ぶので貧血でHbが少なくなると末梢組織にもO2が運搬されなくなり低酸素症になる。
・酸素消費性:末梢組織で代謝が異常に亢進されてる状況(敗血症、高熱、甲状腺クリーゼなどが)では組織は酸素不足に陥る。
・心原性:心筋梗塞などで心拍出量が低下した状態でも全身に血液が送られない、つまり酸素が送られない状態なので低酸素症になる。
稀ではあるが、シアン中毒や硫化水素中毒などでもミトコンドリアのエネルギー代謝異常により低酸素症になる。