呼吸性アルカローシスの鑑別
呼吸性アルカローシスは換気量が増えてCO2が生理的な範囲を超えて体外に出ていくことで起こる。
呼吸性アルカローシスの原因
1,低酸素血症(PaO2<60Torrなど低酸素血症の状態では呼吸刺激による換気量増加が起こり、血液中の酸素濃度を高めようとする。その結果、CO2は逆に排泄されていき低CO2血症によるアルカローシスとなる。
*ちなみに、肺炎や肺水腫などの疾患では病初期には呼吸性アルカローシスであるが、重症化してきて意識障害になったり、呼吸筋疲労になったりするとCO2排出がうまくできなくなり、呼吸性アシドーシスへ移行する。
2,発熱(敗血症):
敗血症では末梢循環不全により嫌気性代謝が亢進し、不揮発酸である乳酸の産生が増加する。この結果、体内に不揮発酸が蓄積し、代謝性アシドーシスとなる。そして、代謝性アシドーシスを代償する機構がはたらかなければ、pHはどんどんアシデミアに傾いてしまう。そこで、呼吸回数を増やすことで、CO2の体外への排出を増やして呼吸性アルカローシスにより代償する。
3,肺塞栓
低酸素血症の原因でも肺塞栓症は診断が難しく、しばしば見逃される。唯一の手がかりが呼吸性アルカローシスというということもあるので鑑別として絶対に忘れてはならない。
4,過換気症候群(精神的なストレス)
5,疼痛
6、サリチル酸中毒、甲状腺機能亢進症、肝不全、妊娠など