PaCO2上昇、肺胞低換気の原因
動脈血液ガスでは大きく分けて呼吸状態と酸塩基平衡の2つがわかる。
・PaO2,PaCO2で呼吸状態
・pH、PaCO2、HCO3-で酸塩基平衡
ここではPaO2とPaCO2による呼吸状態の考え方について。
◎PaCO2(動脈血CO2ガス分圧)の上昇の意味すること
CO2は拡散能力が高いので動脈血での分圧はそのまま肺胞での分圧になる。
つまりPaCO2=PACO2
肺胞でのCO2分圧が高くなると以下の式より必然的に肺胞O2分圧は低くなる。
PAO2=150-PaCO2/0.8
(参照A-aDO2開大の原因と計算式 - とある研修医の雑記帳)
肺胞での酸素分圧が低くなると、そこから酸素をもらっている動脈血の酸素分圧は更に低くなっているはず。(常識的に考えてPaO2はPAO2より小さい)
◎PaCO2が上昇する病態
PaCO2は肺胞換気の状態を反映する指標である。肺胞低換気であればPaCO2>45Torr、過換気であればPaCO2<35Torrになると言われる
※肺胞低換気とは「肺胞にも血管にも異常がなくて肺胞での酸素受け渡しには問題ないが、そもそも換気量が少ないために新鮮な空気が補充されない状態」である。
◎では何故肺胞低換気になるのか。
呼吸を行う場所は肺であるが、それをコントロールしているのは筋肉であるし、筋肉の収縮・弛緩を司っているのは神経である。よって肺には問題がなくても呼吸筋や神経系に異常があると肺胞低換気となってしまうのである。(肺胞低換気の原因となる疾患としてはギランバレー症候群、COPD、肥満低換気症候群など)
逆に過換気は肺血栓塞栓症やうっ血性心不全、間質性肺炎、精神的ストレスが原因の過換気症候群などが原因となる。
【まとめ】
PaCO2上昇があれば肺胞低換気。つまり、肺ではなく筋肉や神経に問題があると考える。
また追記します。