肝不全による低アルブミン血症の治療法とその意味
肝臓ではタンパク質であるアルブミンの産生を行っているために、肝不全となり肝臓の機能が低下するとアルブミンの合成量も低下してしまい、低アルブミン血症が引き起こされる。
低アルブミン血症では血漿浸透圧が低下している状態(つまり血液が薄い状態)なので浸透圧により血管から間質の方に水が流れてしまい、腹水などの浮腫が症状として出現する。
低アルブミン血症の治療であるが、主に次の3ポイントある。
1.減塩食
2,利尿薬(フロセミド+スピロノラクトンの併用)
3.アルブミン補充
減塩食:
腹水が著明な状態では循環血液量が減少するのでGFRも低下し、それによりレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が亢進されて体内に水を保持しようとする。アルドステロンの作用は原尿からナトリウムを再吸収することによって浸透圧的に水をひきとめることである。しかし、血管内に多少水を引き留めようとしても、浮腫の根本の原因は低アルブミン状態にあるので、血管内の水は持続して腹腔内に濾出し続ける。よって塩分を摂取すればするほど血管内に水が貯まる→腹腔に濾出というプロセスによって腹水が増悪してしまうのである。
利尿薬(フロセミド+アルドステロン)
低アルブミン血症では腹水が溜まっているのでそれを除去する目的で利尿薬が用いられる。フロセミドなどのループ利尿薬では循環血液量の減少によりレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が亢進してナトリウムと水がますます体内に溜まってしまうことになる。よって、アルドステロン受容体の阻害薬であるスピロノラクトンも併用する。
また、ループ利尿薬では副作用として低カリウム血症やアルカローシスを引き起こしてしまう。アルカローシスや低カリウム血症の状態ではアンモニウムイオンがアンモニアとなり血液脳関門を超えて肝性脳症の原因となりうる。また、循環血液量が減少し過ぎることにより結果的に肝臓への血流も低下して肝機能低下へと繋がることがある。スピロノラクトンはカリウムの排出を防止するので低カリウム血症の予防としても効果を発揮する。
アルブミン補充:
血中アルブミン濃度が3.0g/dl以下になったら補充を行う。