つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

正球性貧血の鑑別フローチャート

正球性貧血の鑑別フローチャート

 

正球性貧血とはMCVが80-100の状態の貧血のことである。

 

その1:まずは網赤血球数を確認する。
網赤血球数の値としてRPIが有用。
RPI>2の時は骨髄は赤血球の産生を正常に行っているサインで、貧血の原因として出血、溶血性貧血、鉄欠乏性貧血などからの回復中などが考えられる。

 

逆にRPI<2の時は貧血にもかかわらず骨髄が正常に赤血球を産生してくれていない状態。
とりあえず簡単に検査できるものを調べる
・鉄欠乏性貧血
・葉酸/ビタミンB12欠乏
・化学療法後でないか
などの慢性疾患がないかを考える。

 

その2:急性炎症、慢性炎症に加えて膠原病、悪性腫瘍でも貧血となる(しかしヘモグロビンの値は9g/dl以上に保たれることが多い)。これらがないか精査する。

 

炎症性貧血の検査所見としては
Fe低値、TIBC低値、フェリチン高値、RPI低値、CRP上昇
鉄の貯蔵はちゃんとされているが、利用をうまくできないので血清鉄は下がり、TIBCも下がる。

 

☆慢性疾患で貧血になる機序
IL6やTNFαといったサイトカインやヘプシジンを介した鉄吸収の低下、マクロファージの赤血球貪食亢進、エリスロポエチンの産生低下などが挙げられる。

 

その3:腎性貧血がないか考える。
腎不全では腎臓でエリスロポエチンの産生が低下し、赤血球が正常に作られなくなる。腎性貧血が生じるのはCcrが30ml/分以下であると言われている(糖尿病性腎症ではCcr<45ml/分で生じる)。貧血なのにエリスロポエチンが正常に作られていないのならば腎性貧血を考える。


その4:骨髄疾患がないかどうか精査する(末梢血液像)
・血球の異型性→骨髄異型性症候群
・芽球→骨髄異型性症候群、白血病
・連銭形成→多クローン性高γグロブリン血症
など

 

ちなみにMCVが正常範囲内に納まっていても大球性貧血と小球性貧血が混在していて見かけ上正常に見えているだけということも多々ある。