偏頭痛の原因・病態生理
偏頭痛の本質は、素因を有する個体において、トリガーが関与し、脳の恒常性が崩壊することにより脳の感受性が亢進して起こる神経系と血管系の異常反応と言われている。
偏頭痛の病態生理は完全に解明されているわけではないが、有力な仮説として血管説、神経説、三叉神経血管説の3つの仮説が提唱されている。
■最も有力な三叉神経血管説
端的にいうと、頭蓋内血管に分布している三叉神経の神経終末が茂猪されることにより偏頭痛を発生させているという説である。頭蓋内の血管では三叉神経が編みのように血管の周囲を取り囲むように存在している。
1:光・音・匂いや天候などの刺激で三叉神経から血管作動性物質が分泌される。
(例えばカルシトニン遺伝子関連ペプチドCGRPやサブスタンスPなどである)
2:血管作動性物質によって血管は拡張し、血管透過性が亢進することで、血漿蛋白が血管外に漏れ出す
3:血管作動性物質によって血管周辺に存在する肥満細胞が脱顆粒し、生理活性物質を分泌する
4:血管から出た蛋白、そして肥満細胞から出た生理活性物質によって三叉神経は炎症をおこす
5:三叉神経の炎症は末梢に届き、それが痛みのシグナルとして脳に感知される。
■偏頭痛の増悪因子と軽快因子
偏頭痛では頭蓋内血管が拡張すると痛みが増悪し、血管が収縮すると痛みが軽減すると考えられている。
よって
増悪因子は入浴、マッサージ、アルコールなど
軽快因子は安静、冷却、適度な睡眠・緊張
■偏頭痛の治療
第一選択薬はトリプタン製剤である。
これはセロトニン受容体と結合し、血管収縮作用・神経原性炎症抑制作用を示す。