臥位で改善する呼吸苦とは
臥位で改善する呼吸苦の原因
心不全であれば座ると呼吸苦が改善し、臥位で呼吸苦が出現する=起座呼吸
その逆で、臥位で呼吸苦が改善する病態がある→扁平呼吸(platypnea-orthodexia syndrome)
扁平呼吸の診断は座位と臥位でのPaO2(SpO2)の差を調べることでできる。
想起できるかどうかが重要。
扁平呼吸の原因の分類
①心臓由来のシャント
PFO(卵円孔開存)やASDなどのシャントがあり、そこに起座時や立位時に右左シャントの血流上昇を起こす機能的な異常が加わることによって右左シャントが増強する。
✅機能的な異常の原因として
先天性異常:上大静脈欠損、ebstein奇形、左側上大静脈遺残…
占拠性病変:心臓腫瘍、心房中隔の脂肪性肥大
術後合併症:AVR後、上行大動脈修復術後…
その他:上行大動脈瘤、蛇行上行大動脈、肝のう胞による圧迫など…
✅右心系の圧が高くなり、右左シャントとなる機能要因
肺塞栓・肺高血圧(肺血管抵抗が上昇する)、
心嚢液貯留、収縮性心膜炎(右心内圧が上昇する)
右室梗塞など(右心コンプライアンスが低下する)
②非心臓性のシャント(肺内シャント)
肺動静脈奇形や重症の換気血流不均等などの解剖学的異常に機能的異常が加わったもの。
✅肺の機能的異常:ARDS、COPD、胸水、肺塞栓、肺切除後、特発性線維化肺炎など
✅腹部の機能的異常:イレウス、肝肺症候群、アルコール性肝障害など
扁平呼吸は上記のうようにシャントが原因のことが多いので、酸素投与を行っても酸素化の改善が乏しいのが特徴。心臓内シャントによる扁平呼吸であれば心房内欠損閉鎖で治療可能。発見することが大事。
参考文献: