つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

(症例)呼吸困難、腹痛・下痢、高度三尖弁逆流で来院

症例)

67歳男性

1ヶ月前から呼吸困難・下痢の症状。前日からの腹痛で救急外来受診

身体所見:びまん性喘鳴、左胸骨下縁の全収縮期雑音・V波を伴う頸静脈の膨張

腹部CT:盲腸と上行結腸の肥厚、造影性肝病変

心エコー:severe TR、三尖弁の肥厚および三尖弁の可逆性の制限

 

 

 

さて診断は??

 

 

尿検査:24時間蓄尿で5-ヒドロキシインドール酢酸濃度174mg(基準値<15)

肝生検:神経内分泌腫瘍

以上の結果より、カルチノイド症候群およびカルチノイド心疾患(大腸原発と思われる転移性神経内分泌腫瘍。肝臓の神経内分泌腫瘍から分泌された血管作動性が右心系へ流れ込み心内膜障害を引き起こしたと思われる。

 

 

***カルチノイド症候群とは***

TIPS:血管作動性物質=セロトニン,ブラジキニン,ヒスタミン,プロスタグランジン,ポリペプチドホルモンなどがある。血管拡張による皮膚紅潮も代表的な症状である。

TIPS:診断は尿中5-ヒドロキシインドール酢酸の高値を示すことによる。腫瘍の局在診断に核医学検査または開腹が必要になる場合がある。

TIPS:消化管カルチノイドはカルチノイド症候群は肝転移を起こしているかが大事。腫瘍から放出される代謝物は門脈循環内で血中酵素や肝酵素で速やかに分解されるが、肝転移していると代謝物が肝静脈を経由して体循環中に直接放出されてしまうからである。

 

参考:

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm2118205