主訴:顔面の痺れの対応
顔面のしびれを訴える患者に遭遇したら…
鑑別:ベル麻痺、hunt症候群、代謝性(DM、甲状腺、膠原病等)、中枢性(脳梗塞、脳卒中、SAH、ワレンベルグ、脳腫瘍等)
・末梢性顔面神経麻痺か中枢性顔面神経麻痺か考える
→中枢性ならしわ寄せができる。末梢性なら出来ない。
・症状の経過(急性発症か、進行性か)
→外傷後や先天性はまた別に考える
・難聴や耳鳴り・めまいの有無
→これらが無ければベル麻痺、代謝性、自己免疫性、白血病など。各種検査を行い、明らかな他疾患がなければ除外的にベル麻痺(HSV1ウィルスなどの検査もあるが、結果を待ってる間に進行してしまう)。
・帯状疱疹の有無(耳介や口腔内)
→難聴や耳鳴り・めまいに加えて帯状疱疹があればハント症候群を考える。
✅ベル麻痺
・ベル麻痺は原因不明の一側性末梢性顔面神経麻痺であるが、単純ヘルペスウィルス1型(HSV-1)が主な原因と言われている。
・潜伏しているヘルペスウィルスの再活性化。
・中年が好発年齢。
・ウィルス性神経炎による神経浮腫と骨性顔面神経管内における神経の圧迫、循環不全が病態。
・ベル麻痺は除外診断だが、明らかな他の疾患が無ければベル麻痺として治療を開始する(通常は耳鼻科に紹介の上で)
・70%が自然治癒、治療で90%が完治する。
✅hunt症候群
・hunt症候群は①顔面神経麻痺に②耳介の帯状疱疹と③難聴やめまいを合併する疾患で、水痘-帯状疱疹ウィルス(VZV)が病因である。
・しかし3主徴が全て揃う症例は60%程度。しかし初診時に耳痛や耳介の発赤のみの症例も多い。
・高齢者ほど発症率が高い。
・確定診断にはペア血清におけるVZV抗体の有意上昇、あるいは水疱からPCRによるVZVDNAの同定を行う。
・治療は早期介入が重要。重症度に応じてステロイド+バラシクロビル内服(orアシクロビル静注)。
(顔面神経麻痺の評価方法も参考に)
また追記します。
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