つねぴーblog@内科専門医

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肥大型心筋症についてのメモ書き

肥大型心筋症についてのメモ書き

 

肥大型心筋症とは、高血圧や弁膜症など明らかな原因が無いにも関わらず左室または右室の異常肥大を呈する疾患。左室の拡張脳障害が病態の主体であり、流出路狭窄の有無や突然死のリスク評価が重要である。約半数は常染色体優性遺伝であり、家族歴の確認とともに家族へのスクリーニング心電図を推奨する。

 

⭕診断・精査のための検査:

✅12誘導心電図:R波像高、ST-T異常(ストレインパターン)、陰性T波、左室側高電位、異常Q波など。左室肥大による相対的虚血や心筋変性による影響と考えられる。

✅ホルター心電図:全例に行う。5−7割にPVC、2割にNSVT、3割にAfが見られる。診断されたら必須。

✅心エコー:左室中隔/左室後壁厚比>1.3の場合を非対称性中隔肥厚(ASH)と称する。

肥大の局在として①心尖部肥大型心筋症(apical HCM)②閉塞性肥大型心筋症(HOCM)③非閉塞性肥大型心筋症(HNCM)に分類される。

・壁厚が30mmを超える肥大は突然死のリスクが高いとされている。

・閉塞性肥大型心筋症の診断は左室流出路の圧較差が30mmHg以上のとき。

・EFは正常であっても左室肥大が高度になると心腔の狭小化で心拍出量は低下する。

✅心臓MRI:心エコーよりもMRIのほうが心筋と心腔の分離能力は高い。心エコーにおける描出が不良な例において肥厚や肥大部位の評価に有用。

 

⭕鑑別診断

全身性疾患に合併して心肥大するものとして、アミロイドーシス、ファブリー病、糖原病、サルコイドーシス、ミトコンドリア疾患など。治療法が根本的に異なるので鑑別は非常に重要。

 

⭕肥大型心筋症のリスク評価

予後不良の独立した因子としては、高心胸比、低い左室駆出率、左脚ブロック。

拡張相肥大型心筋症への移行も予後不良因子の1つ。

心尖部肥大は予後良好の因子。

 

⭕突然死の発症リスク

・肥大型心筋症による突然死の家族歴

・心停止や失神の既往を有する患者

・運動負荷試験にて血圧反応異常(血圧増加が20mmHg以下)

・超音波で著明な心肥大(最大左室壁厚≧30mm)、左室流出路圧較差≧50mmHgなど

・ホルター心電図などでのVTの検出

・拡張相への移行(エコーでの肥大した心室壁の菲薄化、心室内腔の拡大)

などは突然死のリスクがあるため注意深いフォローが必要

 

⭕肥大型心筋症の治療とそのフローチャート

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✅左室内圧較差に対する治療

・βブロッカー、カルシウムブロッカー(ベラパミル、ジルチアゼム)がclassⅠ推奨

・1群抗不整脈薬(ジソピラミド、シベンゾリン)にも陰性変力作用があり、左室流出圧較差改善効果がある(classⅡ)

・薬剤治療はあくまで症状改善目的であり、予後改善のエビデンスはない。

・薬物療法で改善が乏しい場合はペースメーカー留置による心室収縮様式の変化による圧較差の低下や、経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)を考慮する。

・心不全の治療としてはACEI/ARB(心筋の肥大や線維化にはレニン・アンギオテンシン系が深く関与するから)。しかし!閉塞性肥大型心筋症ではACE阻害薬/ARBは使えない。その他、亜硝酸薬、ジギタリス、ニフェジピン、ドブタミンなども使用不可。

 

⭕ICDの植え込み適応

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追記します。