つねぴーblog@内科専門医

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閉塞性肥大型心筋症でジギタリス禁忌の理由

閉塞性肥大型心筋症でジギタリス禁忌の理由

 

肥大型心筋症とは心室心筋の不均一な肥大により左室の拡張能が低下してしまう疾患である。一般的に心室自由壁よりも心室中隔の方が肥大しやすく非対称性中隔肥大と呼ばれる。肥大型心筋症ではどれだけ心臓から拍出できるかが重要である。左室の流出路からの血液の出やすさを規定する因子としては、収縮力・前負荷・後負荷の3つがあげられる。


1、収縮力に関して
収縮力が低下すればするほど流出路狭窄は改善する。ジギタリス禁忌な理由はまさにこのためで、肥大型心筋症は心筋がマッチョになっているから悪いのに更にパワーアップさせるようなことをすればよけいに流出路が狭くなるので使ってはならない。同様の理由でβ刺激薬も禁忌である。逆になにを用いればよいのかというと、収縮力を低下させるβ遮断薬、カルシウム拮抗薬などである。


記事のタイトルから外れているが、残りの2要素についても触れておく

 

2、前負荷に関して
前負荷とは心臓に戻ってきている血液量(容量負荷)のことであり、これが大きければ大きいほど血液が狭い左室の空間を広げてくれるため、左室流出路は保たれる。前負荷をあげるためには下枝の挙上やβ遮断薬などが用いられる。

 

3、後負荷に関して
後負荷とはすなわち末梢血管抵抗のことである。閉塞性肥大型心筋症では左室流出路の狭窄を反映して狭窄部位の前後で圧較差がみられる。狭窄の前では圧力が高く、狭窄の後側では圧力が低くなっている。
α1刺激薬を用いれば末梢動脈が収縮するので狭窄前後の圧較差がなくなり、血液がスムーズに出やすくなるのである。