つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

心エコーの解釈:E/e'について

⭕E/e'は何を意味するのか

E/e'は左房圧の評価として用いられる指標。E/e'は肺毛細血管楔入圧(PCWP)と関係すると言われており(r=0.87)、両指標には良好な正の相関が認められる。E/e'が15以上であればほぼ全例で左房圧上昇をきたしていると考えてよいし、逆にE/e'が8以下であれば左房圧上昇はない。E/e'が8〜15の間では左室平均流入圧(左房圧)の推定は困難で他の指標を参考にする。

 

⭕他の所見とどう関係するか

E/e'の上昇は左房圧の上昇を意味する。

そもそもの話をすると、左室拡張末期圧=左房圧=肺毛細血管内圧となるので左房圧が18を超えるとフォレスター分類ではPCWPが18以上の2群、4群に該当してwetの状態である(肺毛細血管から間質にに水が移動し始める)。

・症状だと呼吸困難

・バイタルだとSpO2低下、頻脈

・聴診だと湿性ラ音や三音

・レントゲンだと肺うっ血

・心エコーだとE/e'上昇とほぼ同じ意味の左房圧上昇を表すE/Aの変化やTRPGの上昇として捉えられる。また、左房径も重要。急性心不全で入院時左房径が45mmだった人が良くなると38mmになるなど敏感に反映する。

 

⭕E/e'が頼りにならないケース

上記の通り8<E/e'<15の時は左房圧の推定には役に立たない。

また、E/e'は僧帽弁輪の後退速度を見ているので僧帽弁が動きにくいような病態でも当てにならない(僧帽弁置換術後やMR、MS、僧帽弁輪の石灰化など)

 

(おまけ)

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画像はhttp://keijishinkekan.kenkyuukai.jp/special/index.asp?id=3720より引用