肺動脈楔入圧とレントゲン所見の関係
心不全で肺静脈圧が上昇すると様々なレントゲン所見が出現する。
左心不全により左室の拍出量が低下すると左房圧力が上昇→肺静脈圧上昇→肺うっ血がおこる。肺うっ血とは肺の毛細血管圧が上昇して肺の血管外に水が漏れて肺胞と間質が水で溺れてしまう病態である。症状としては呼吸苦や頻呼吸、咳、ピンク色の泡沫状の痰などが出現する。肺静脈狭窄がなければ肺動脈楔入圧=肺静脈圧=左房圧である。
✅ポイント:肺静脈圧が高くなると最初に出現するのはアントラパターン(鹿の角)と呼ばれる上肺野の血管陰影の拡張である。普通は重力で上部の血液は心臓に戻りやすいが、静脈圧が高くなりすぎると心臓に灌流しにくくなり血管が拡張してしまう。下肺野の血管も同様に圧が高くなるがもともと血管が拡張しているため、心不全になって目立つのは上部の血管陰影の拡張である。
✅ポイント:更に肺静脈圧が高くなると間質性肺水腫になる。肺胞までは水が到達していないが間質がむくんでしまうと、カーリーB lineが見られる。
✅ポイント:肺静脈圧が25mmHg程度を超えると肺胞性肺水腫となりバタフライシャドーのような浸潤影のようになる。air bronchogramも見られる。間質だけでなく肺胞にまで水びだしの状態。
⭕肺静脈圧>12mmHg以上の時
アントラパターン(鹿の角)のようにみえる=上肺野の血管が大きくなっている状態。上肺野の肺静脈が下肺静脈よりも目立つ。
(アントラパターンのイラスト@海外サイト)
⭕肺静脈圧>18mmHgの時=間質性浮腫
・カーリーBサイン
・vanishing tumor
⭕肺動脈楔入圧>25mmHgの時=肺胞性浮腫
butterfly shadow(肺門部を中心とした蝶形のすりガラス状陰影である。)