左室拡張末期圧(LVEDP)について
⭕LVEDPとは
心不全を定義するなら1つは「末梢の組織の需要に合うだけの血液を送り出すために左室拡張末期圧を上昇させなければならない場合」、もう1つが「末梢の組織需要に対して心臓が血液を送り出せていない場合」である。
左室拡張末期容積は前負荷の指標であり、左室拡張末期容積が大きければ大きいだけ、心臓はポンプとして全身に血液を送り出しやすくなり、一回心拍出量は増加する(フランクスターリングの法則)。また前負荷がある一定レベルを超えるとむしろ一回拍出量は減少する(心室機能曲線の下行脚)ことが知られている。
また、輸液などで前負荷である左室拡張末期容積を増大させていくと上昇した前負荷(左室拡張末期圧)により肺うっ血が起こる。(僧帽弁狭窄症がなければ左室拡張末期圧=左房圧=平均肺動脈楔入圧である)
⭕心エコーでLVEDPを推定するには
E/e'がEDPと相関する。中隔でのE/e'が15以上、側壁でのE/e'が12以上のときは左室拡張末期圧上昇(EDP>22)と推定される。