指鼻指試験のやり方とその意義
指鼻指試験の方法とその意義
指鼻指試験とは小脳運動のスクリーニングテスト。
患者は人差し指で患者の鼻先と検者の指先を交代交代に触れさせる。検者は少しずつ指の位置を動かして患者がそれに合わせて指を動かせるか観察する。検者は自分の指を患者が手を伸ばしてようやく届くような距離におく。検者の指が近すぎると正確に小脳運動を評価できない。
観察の主なポイントは測定障害、運動分解、時間測定異常。
◯測定障害
測定障害は患者の指が検者の指にちゃんと付くかどうかで評価する。検者の指を通り越してしまう場合は「測定障害あり」となる。
測定障害には測定過大と測定過小とがある。、定過大とは検者の指を通り越してしまうことであり、測定過小とは検者の指の前で止まってしまうことを言う。小脳失調で見られる測定障害は測定過大である。小脳失調では運動をストップさせるタイミングが遅れたり、筋肉のトーヌス低下があるために測定過大になる。
小脳失調以外にも錐体外路症状、麻痺、深部知覚異常でも測定障害は生じるが測定過大、測定過小どちらもありうる。
◯運動の分解
人間の行う多くの動作は複数の筋肉の運動が組み合わされてスムーズに動くことによって実現できているが、複数の筋肉の連携がうまくできなくなることを運動の分解という。小脳症状のある患者の場合、指を自分の鼻の頭に持っていく時に肩関節と肘関節を同時に屈曲させることができずに、先に肩関節だけが屈曲して上腕が挙上してから遅れて肘関節が屈曲して指を自分の鼻に当てる。つまり、肩関節の屈曲運動と肘関節の屈曲運動の協調が解体していると言える。
◯時間測定異常
患者に閉眼させて、両上肢を伸展させて広く外転させてから検者の合図で両上肢で同時に指鼻試験(患者の指を患者の鼻につける)を行わせると、小脳障害のある側の手において指が動き出すのも、鼻に到着するのも遅れる。このような症状を時間測定異常という。小脳の検査として行われるが、当然麻痺があったり錐体外路症状があったりしても時間測定異常は出現するので注意。
はカルテに「指鼻指試験:陰性」や「指鼻指試験やや稚拙」などと表現するのは本来望ましくない。できれば測定障害、運動障害、時間測定異常について記載するべきである(救急外来であればそこまで必要ないかもしれないが)。
小脳失調の一例(測定障害)from youtube
また追記更新します。