腸炎の下痢患者に甘いもの禁忌な理由
腸炎の下痢で甘いものはダメで脂肪はそこまでダメじゃないという話
急性腸炎の下痢は主に3つのタイプがある(おさらい)
1,分泌性下痢:
小腸において水や電解質の分泌が亢進し吸収が追いついていない状態。例えばコレラでは腸管粘膜のGタンパク質を介して細胞内シグナルcAMPを常にONにして水とCl-イオンが絶えず外に出続けてしまう。よって食事をやめても下痢は続くという特徴がある。
2、浸透圧性下痢:
腸管内容物によって浸透圧が上がるとそれを薄めようと腸管粘膜側から腸管内腔に水が移動し、結果として下痢になる。よって食事をやめると下痢も治まる。
3、炎症性下痢:
大腸病変の時の下痢。カンピロバクターなどの細菌感染で大腸粘膜が傷害を受けることにより生じる。少量で頻回、時に血便を呈する。
◯ジュースなど甘いものは出来るだけ避ける
ジュースなどの甘いものは前述2の浸透圧性下痢を増悪させる。甘いものには単糖が多く含まれており、腸管内腔の浸透圧を大いに上げてしまい腸管内に水を引き込んでしまう。
◯脂肪は絶対禁忌ではない
脂肪の取り過ぎも下痢増悪の原因となってしまうが、脂肪をとらないとカロリー不足に陥ってしまうので適度の摂取は許される。また脂肪は腸管の蠕動運動を抑制する働きがある。食事中の脂肪は十二指腸に到達すると消化管ホルモンであるコレシストキニンを分泌させ、コレシストキニンは小腸で脂肪の吸収を促進させるとともに胃腸の運動を抑制する。というわけでメカニズム的にもカロリー的にも脂肪はそこまで敵対視する必要はない。甘いもの方が良くない。