カルチノイド症候群で喘息、下痢、皮膚の紅潮が起こる機序
カルチノイド症候群で喘息、下痢、皮膚の紅潮が起こる機序
カルチノイド症候群とは粘膜下腫瘍の一つで、Kulschitsky細胞が原因でセロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジンなどを分泌することにより様々な症状がでる。
セロトニンは平滑筋を収縮させる働きがある。気管支平滑筋が収縮することにより喘息、腸管の平滑筋が収縮することにより下痢が生じる。またヒスタミンによって皮膚の毛細血管の平滑筋が拡張することにより血流が増えて皮膚が赤くなる。
気管支にできるカルチノイド症候群ではこれらの症状が見られるが、腸管にできるカルチノイド症候群では分泌されたセロトニンが門脈を経由して肝臓で代謝されるので症状はでない(ただし、腫瘍が肝臓やリンパ節に転移すれば肝静脈などを介してセロトニンが全身を巡るようになり症状がでる)。
また、カルチノイド症候群は肺動脈閉鎖不全や三尖弁閉鎖不全などの右心不全徴候を示す特徴もある。これはセロトニンによる心内膜を繊維化させることによる。一方、左心不全はまれであり、セロトニンが肺を通過する間に破壊されるからと考えられる。