つねぴーblog@内科専攻医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

インスリン抵抗性の指標(空腹時IRIとHOMA-R)

◯インスリン抵抗性とは

インスリンは膵臓β細胞から分泌されて肝臓や筋肉、脂肪組織のような末梢の細胞に働きかけ、血液中の糖を細胞内に取り込ませて血糖値を下げる役割がある。インスリンの抵抗性とは血中のインスリン濃度に見合ったインスリンの作用が得られないことをいう(ex,インスリン受容体の減少、インスリン受容体から先のシグナル伝達の異常など)。インスリンの抵抗性が増大する原因としては内臓脂肪の蓄積がある。内臓脂肪の蓄積によってTNFαの増加やアディポネクチンの低下することがインスリンの抵抗性を増大させると考えられている。

 

・TNFとは何か

tumor necrosis factor(腫瘍壊死因子)の略であり、これは脂肪細胞から分泌される因子である。TNFαは近くの筋細胞に働きかけ、インスリンの抵抗性を促進させ(パラクリン)、また分泌した脂肪細胞自身にも働きかけてインスリンの抵抗性を促進する(オートクリン)。

・アディポネクチンとは何か

アディポネクチンとは脂肪細胞から分泌されるタンパク質であり、筋細胞において脂肪酸の酸化を促進し、糖の血中からの取り込みを促進させる(インスリン感受性の促進)作用がある。故にアディポネクチンはTNFαと反対の作用を示すとも言える。

 

◯インスリンの抵抗性の検査

・血中インスリン(IRI)(μU/ml)

血中のインスリン濃度の測定はインスリン抵抗性の指標になりうる。例えば早朝などで血糖値が低い場合でも血中インスリン濃度が高ければインスリンの働きが悪いからと考えることができる。またIRIはインスリン抗体が存在する場合などでも高値を示す。

基準値としては早朝空腹時の血中インスリン値が5〜15であれば正常範囲。

IRI>15μU/mLであればインスリン抵抗性がありと診断される。

 

・HOMA-R(homeostasis model assessment for insulin resistance)

早朝空腹時血中インスリン値(IRI)と空腹時血糖(FPG)から計算する

HOMA-R=IRI × FPG /405

HOMA-Rとはインスリン抵抗性の指標であり、このHOMA-Rが大きいということは「血中のインスリン濃度が高いにもかかわらず、血糖値が下がっていない」ということを意味している

正常値は1.6以下であり、1.6〜2.5でインスリン抵抗性疑い、2.5以上でインスリン抵抗性あり。何故405で割るのかという疑問もあるが、HOMA-Rの正常値が1になるように割っているだけで医学的に何か意味があるわけではない。

HOMA-Rの注意点としては

1,空腹時血糖が140以上の場合は信頼度に劣る。

2,インスリン治療中の患者では用いられない。

 

◯インスリン抵抗性を測ってどう臨床に生かすのか

2型糖尿病の診療においてはインスリン分泌低下とインスリン抵抗性のどちらが主体なのかを把握する必要がある。というのも経口血糖降下薬を処方しようにも、インスリン抵抗性改善薬にするかインスリン分泌促進剤にするか、処方の選択が変わってくるからである。

インスリン抵抗性改善薬としてはビグアナイド剤、チアゾリジン薬

インスリン分泌促進薬としてはスルホニル尿素薬、グリニド薬、DPP-4阻害薬

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