胎児の血流再分布のメカニズム
胎児の血流再分布のメカニズム
胎児が慢性の酸素不足に陥った場合、生命維持にとって重要でない臓器への血流を減らし、そのかわり脳や心臓という生命維持に必須の臓器への血流を優先的に増やし、低酸素状態へ対応する代償機構のことを血流再分布という。
低酸素状態になると頸動脈や大動脈弓に存在する化学受容体が感知し、カテコールアミンを分泌する。カテコールアミンの受容体は全身に分布しているがその感受性は組織によって異なる。脳や心臓そして副腎といった組織ではカテコールアミンによって血管が拡張する一方、腸管や腎臓、四肢などは血管が収縮して血液量が低下する。この状態が持続すると、腎臓の血流量が減るので尿量も低下し、羊水産生量も減るので結果的に羊水過少や胎児発育不全を引き起こす。