平均血圧の計算とその意義
平均血圧の算出法とその意義
平均血圧とは
自動血圧計でも平均血圧を測定することが出来る。平均というのは収縮期血圧と拡張期血圧の平均という意味ではない。カフで動脈を圧迫した時に動脈から最も強く振動が伝わる圧力を平均血圧としている。
動脈を圧迫するカフ圧を強くすると動脈は狭窄するため動脈からの振動は伝わってこない。徐々にカフ圧を下げていくと動脈に血流が流れ始め、その振動が伝わるようになりピークとなった後、また小さくなっていく。この振動がピークとなる値が平均血圧である。
◯平均血圧の計算
臨床現場では簡易の計算として次の計算式が用いられる。
平均血圧=脈圧÷3 + 拡張期血圧
(脈圧=収縮期血圧 ー 拡張期血圧)
画像引用:一歩一歩学ぶ生命科学
(例)収縮期血圧120、拡張期血圧90だとすると
平均血圧=(120-90)÷3+90=100となる
平均血圧は臓器灌流の指標として用いられる。冠動脈は拡張期に流れることが知られているが、それ以外の臓器においては平均血圧が臓器血流を規定している。であるから全身麻酔で血圧が低下している時は収縮期血圧よりも平均血圧がいくらかが大事なのである。収縮期血圧が高くても平均血圧が低かったら臓器は虚血に晒される。
特に虚血から守らなければならない臓器は脳である。脳血流と平均血圧が60mmHg〜160mmHg程度の場合の時は一定であるが、平均血圧がおよそ60を超えると脳血流も急激に上昇し、およそ60を下回ると脳血流量も急激に低下することが知られている(下図参照)
画像引用:低酸素性虚血性脳症と脳室周囲白質軟化症