つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

多発性骨髄腫でβ2MG、アルブミンが病期分類に用いられる理由

多発性骨髄腫でβ2MG(ミクログロブリン)、アルブミンが病期分類に用いられる理由

 

多発性骨髄腫ではISSという病期分類がある。それではアルブミンとβ2MGという物質が指標として用いられているのだが、血中アルブミンが低ければ低いほど重症、β2MGは高ければ高いほど重症である。どういうことであろうか。

 

前提的な話から

多発整骨髄腫ではベンスジョーンズ蛋白が過剰に作られるがこれは糸球体でろ過された後、近位尿細管でひたすら再吸収されるが、うまく処理できないために尿細管上皮細胞に沈着し、尿細管障害を引き起こす(骨髄腫腎)。β2MGというのは小さい分子であるので糸球体でろ過されるのであるが、腎機能が低下すると糸球体ろ過量が低下し、血中β2MGの値は上昇するのである。

つまり血中のβ2MG上昇は腎障害を反映

 

また、Bence-jones蛋白は変性してアミロイドになるので、アミロイドが全身を巡ってアミロイドーシスをきたす。腎臓の糸球体にも沈着してネフローゼ症候群をおこす(アミロイド腎)。

骨髄腫では高γグロブリン血症をきたすが、その代わりに正常な免疫グロブリンの産生は低下する。また同様にアルブミンの産生も引きずられて低下してしまうのである。そして更にアミロイド腎によって糸球体のバリアーが破壊されるのでアルブミンが糸球体を通過してそのまま漏れてしまうのも血清アルブミン低下の原因と考えられている。

つまり、アルブミンの低下も腎障害を反映

 

まとめるとβ2MGの上昇もアルブミンの低下もどちらも多発性骨髄腫による腎機能障害を意味しているというお話。