大動脈縮窄症(CoA)〜単純型と複合型の違い〜
大動脈縮窄症とは大動脈頬部or下行大動脈に局所的な狭窄をきたした先天性心疾患である。大動脈の一部が狭窄しているだけの”単純型”と他の心奇形を合併した”複合型”がある。
単純型について
大動脈が狭窄している場所より下流は当然血流が悪くなる。腎臓の血流が低下すると代償的にレニン・アンジオテンシン系が亢進する。狭窄より下流の血流は回復するが、狭窄部位よりも上側は必要以上に血流が増えてしまい高血圧となる。また、狭窄部位があるため左心室は頑張って血液を駆出しようとするので左室は肥大する。
下肢には血があまり送られないので高血圧でありながら下肢の血圧は低いという状態になる。
複合型について
複合型は前述のとおり大動脈の縮窄に加え、心奇形を合併したものである。心奇形の多くは心室中隔欠損(VSD)である。またこのタイプのほとんどは大動脈の縮窄が非常に強い。下半身に血液を送るために動脈管が空いたままになっている。上半身は上行大動脈から綺麗な血液が送られるが、下半身は肺動脈→動脈管→下行大動脈と酸素化されない血液が流れるため、下半身のみチアノーゼを呈する。
肺動脈の容量負荷が大きく、新生児期から肺高血圧となり、うっ血性心不全を呈する。また、動脈管が閉じると、腎血流が減少し壊死する。故に、動脈管開存を目的にプロスタグランジンを用いる。また、外科的な治療としてsubclavian flap手術が行われる。これは動脈管を切除した後、左鎖骨下動脈の下半部と狭窄部を切開して翻転縫合する術式である。