妊娠するとカンジダ症にかかりやすくなる理由
妊婦がカンジダ症にかかりやすくなる理由
妊娠すると非妊娠時よりもエストロゲンが多く産生されるようになる。エストロゲンは膣上皮細胞に働きグリコーゲンを多く産生する。膣の扁平上皮細胞は当然新陳代謝するので古くなった細胞は剥離して崩壊し、細胞内部の成分を放出する。そのとき大量のグリコーゲンが膣内に分泌されるわけであるのだが、本来ならグリコーゲンを膣内の乳酸菌であるデーデルライン膣杆菌という微生物が乳酸に分解して膣内pHを低く保って他の細菌が増殖しにくいようにしている。
しかし、妊娠中にエストロゲンの量が特に多くなっているとグリコーゲン量も非常に多くなるのでデーデルライン杆菌だけではグリコーゲンを処理しきれずに膣内にグリコーゲンが蓄積してしまう。
カンジダというのは膣の常在菌なのでグリコーゲンが余っていると勢いよく増殖して膣カンジダ症を引き起こす。常在菌であるので無症状の場合はとくに治療は必要ではない。かゆみや白いおりものなどの症状がある場合は、治療として膣洗浄やイミダゾールなどの抗真菌薬を用いる。