遠位尿細管性アシドーシスの病態生理
遠位尿細管性アシドーシス(Ⅰ型RTA)の病態生理
Ⅰ型RTAは遠位尿細管でのH+排泄障害によって起きる代謝性アシドーシスである。HCO3-/Cl-交換輸送体の機能も低下するため、HCO3-の低下とCL-の上昇を認め、アニオンギャップは正常となる。
遠位尿細管でH+排泄が障害されると、H+/K+ ATPaseが機能しなくなり、尿中へのK+の喪失が生じる。そのため患者は低K血症による四肢脱力や多尿を主訴に来院することが多い。また、アシドーシスを緩衝するために骨からカルシウムイオンが放出され、高カルシウム尿症を生じ、尿路結石、腎石灰化を合併することがある。
ポイント:多彩な症状の根本的な原因はH+の排泄障害
Q、低カリウム血症となるのはなぜ?
A、H+分泌が減少するので、管腔内電位を電気的中性に保とうとK+分泌が上昇し、低カリウム血症となっている。
Q、高カルシウム尿症となるのはなぜ?
A、
1) 代謝性アシドーシスでは、遠位尿細管でのカルシウム再吸収が低下する。
2) アシドーシスに対して骨からカルシウムとリン酸が動員され、リン酸によりpHの低下が緩衝され、カルシウムは1)により排泄される。
Q、腎石灰化や尿路結石が起こるのは何故?
A、前述のように高カルシウム尿症となるから。