つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

大動脈解離のCT画像のおさらい

偽腔の血流状態による分類

◯偽腔開存型:危険度高い

偽腔に血流のあるもの。部分的な血栓が偽腔の中にあることも。

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↑stanfordA型の偽腔開存型:造影CT

 

◯偽腔(血栓)閉塞型:Intramural hematoma (Intramural hemorrhage)

偽腔が血栓で完全に閉塞しており血流のないもの。危険度低い。

偽腔閉塞型は急性期の合併症が少なく、慢性期に瘤の退縮も期待されるため比較的予後良好。頻度は急性大動脈解離の10〜30%ほど。

欧米では、病因を大動脈の栄養血管の破裂による大動脈壁内の血腫としてとらえ、壁内血腫(Intramural hematoma)という命名になっている。

 

偽腔閉塞型大動脈解離の診断は次の通り

・造影CTで三日月型の偽腔を認める。

・急性期には単純CTで偽腔が高吸収域となる。

・経食道心エコーで内膜破綻とそこからの血流の流入を認めないこと。すなわち偽腔と真腔のあいだに交通を認めないこと。(わずかでも血液の流入を認めたら偽腔開存型動脈解離である)

 偽腔閉塞型は偽腔開存型に比べると合併症率が低い。

スタンフォードA型であれば脳梗塞や大動脈弁逆流が少ない。

スタンフォードB型では腎不全、下肢虚血、腸管虚血などの合併症が少ない。

 

(例1)

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↑偽腔閉塞型の単純CT:急性期〜亜急性期は偽腔が高吸収となる。

 

(例2:単純と造影)

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↑単純CT:解離腔内に高吸収血栓あり。

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↑造影CT:偽腔に造影効果なし。

単純・造影CTの結果を合わせて考えると、大動脈解離が発症するも早期に解離腔が閉塞したものと考えられる(早期血栓閉塞型大動脈解離)。この場合は血栓閉塞型だから危険度は低いと早合点してはならない。早期血栓閉塞型大動脈解離では再解離が8~33%で起こると言われており、厳重な経過観察が必要。早期血栓閉塞型大動脈解離は造影CTだけでは診断できないため必ず単純CT→造影CTと取る。

 

(例4)

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↑偽腔閉塞型の造影CT:下行大動脈に造影されない偽腔あり

 

◯ULPタイプについて

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偽腔閉塞型の大動脈解離でも真腔から一部突出しているタイプ(ULP)には注意が必要。新たに出現・増大すると嚢状に進展→偽腔開存型になる可能性がある。

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↑造影CTのULPの一例

 

◯治療について

スタンフォード分類(上行大動脈に解離があればA、なければB)と偽腔開存型と偽腔併存型かで分類。合計4パターンに分けて治療方針が決定される。

・偽腔開存型スタンフォードA:緊急手術

・偽腔閉塞型スタンフォードA:最大上行径が50mm以上あるいは偽腔径が11mm以上で準緊急もしくは緊急で手術

・偽腔開存型スタンフォードB型:保存的加療。致死的合併症(大動脈破裂、腸管虚血、下肢虚血など)があれば緊急で侵襲的治療。

・偽腔閉塞型スタンフォードB型:保存的加療。致死的合併症(大動脈破裂、腸管虚血、下肢虚血など)があれば緊急で侵襲的治療。

 

参考文献:

最新の診断と治療|東京都CCU連絡協議会

https://www.yodosha.co.jp/rnote/gazou_qa/9784758105460_1a.html