頸動脈血管雑音(bruit)聴診の方法とその意義
頸動脈血管雑音(bruit)聴診の方法とその意義
頸動脈血管の雑音聴取は頸動脈が狭窄などにより血流が速くなっていることを示唆する。頸動脈で最も狭窄が起こりやすい場所は総頸動脈が内頚動脈と外頸動脈に分岐する部分。狭窄があれば低調の連続性雑音が聞こえる(低音なのでベル型の方がよく聞こえる)。血管雑音は英語でbruitとも言うが、フューフューという音を意味する言葉である。
画像参照:http://www.osada-iin.com/original5.html
聴診場所は下顎角の直下2cmほどの場所を目安とする。呼吸音も聞こえると血管雑音がわかりにくいので被験者に軽く息をとめてもらう。
頸動脈血管雑音は非常に簡単にできる方法であるものの、偽陽性も一定数認められる。
◯
・45―54歳では2.3%、75歳以上では8.2で血管雑音が聴取される。
・血管雑音=血管狭窄にはならない。
血管雑音の血管狭窄に対する診断特性は次の通り↓
感度29-76%、特異度61-94%、 LR+1.6-3.2 、LR- 0.3−0.6
意外にも感度、特異度ともにパッとしない。より診断を確定させるにはMRAや超音波検査でみる必要がある。因みに治療の適応は50-70%の狭窄があって症状があるか、無症状でも75%以上の狭窄が認められた時というのが一般的である。
血管狭窄の原因としては動脈硬化や高安病などの血管疾患。
特に動脈硬化とは無縁そうな若年者、女性などで血管雑音が聴取されたらは高安病を鑑別に上げる必要がある。もちろんその他にも炎症反応の上昇や大動脈弁閉鎖不全症による心雑音、四肢の冷感、動脈触知不可などもろもろ調べる必要はある。
(注意点)頸動脈の触診は必ず聴診してから。頸動脈の位置を確認しようと触診をして血管の位置を確かめてはならない。両方の血管で雑音が聞こえる(狭窄がある)場合に両方の血管の触診をすると血管が閉塞して失神させてしまうおそれがある。
また追記します。